涸沢の紅葉と奥穂高岳登山

2000年10月5日〜7日

 以前から涸沢カールの紅葉を見てみたいと思っていたがなかなか訪れるチャンスがなかった。2000年の登山の締めくくりに日本第3位の高さの奥穂高岳(3190メートル)に登頂した。
 10月5日〜7日まで2泊3日の日程。タケカンバとナナカマドの紅葉と奥穂高岳山頂からの大展望に感動した。

 10月5日 朝6時40分、長野県松本市のJR松本駅から松本電鉄に乗り新島々駅へ。バスに乗り換え上高地へ8時30分に着く。河童橋にはたくさんの観光客。河童橋から眺める青い空の穂高連峰は素晴らしい。
 河童橋を渡り「ホテル白樺荘」で朝食。9時30分、横尾を目指してスタート。約10キロ3時間の行程。でも途中に明神、徳沢と1時間おきに休憩ポイントがある。最初のポイントの明神まで来ると明神岳、前穂高が望まれる。頂上付近は紅葉が美しい。徳沢では「氷壁」で有名な徳沢園で小休止。左手に明神岳から奥白又の岩壁を眺めながら快適な歩きを楽しむ。12時ちょうど、横尾へ到着し昼食。
 12時40分スタート。横尾から涸沢カールまで約5キロ。3時間のコースタイム。梓川にかかる横尾大橋を渡り少し歩くと屏風岩の大岩壁が不気味な感じでそそりたつ。正面に北穂高岳が望まれるようになると本谷橋。たくさんの登山者が休んでいる。さてここからが本格的な登り。つづら折りの涸沢谷を楽しく登る。やがて傾斜も緩くなり、正面には前穂高北尾根が見え、ナナカマドの紅葉と、タケカンバの黄葉が美しい。後には常念岳がどっしり。
 涸沢カールの展望が広がり、燃えるような紅葉の涸沢カールに入る。紅葉を楽しみながらゆっくりと登る。色とりどりのテントが並ぶ。15時30分涸沢小屋に到着。宿泊手続きを済ませ、テラスでコーヒーを飲みながら涸沢カール、北穂高岳、奥穂高岳、前穂高の大展望を楽しむ。
                         涸沢カールと奥穂高岳の写真
 10月6日 今日も快晴。奥穂高岳を目指し5時40分スタート。ナナカマドやタケカンバの灌木帯をジグザグに急登する。高度が上がってザイテングラートに近づく頃、涸沢カールが少しずつ明るくなってきた。モルゲンロートが始まった。写真で見たことはあるがこんな素晴らしいモルゲンロートはもちろん初めて。たくさんのカメラマンがカメラを構えている。これが目的だったのだ。ザイテングラードの末端を目指す。鎖場も無事通過。7時40分穂高岳山荘に到着。山荘の横からすぐに岩場が始まる。長い2つのハシゴ、鎖場に緊張する。思ったよりも簡単に通過でき、安定した稜線に出てほっとする。振り返ると涸沢岳と北穂高岳の間に槍ガ岳が顔を出す。正面には大きなケルンの積まれた山頂が見える。8時40分日本第3位の高さの奥穂高岳に登頂。遠くに富士山が望まれる。素晴らしい大展望を楽しむ。
 山頂から友人に携帯電話を掛け、大展望を中継。こんなことをしていると「山頂では登山者の迷惑になるので携帯電話はお控えください」との看板が立てられるようになるかもしれない。穂高岳山荘に戻り今度は涸沢岳を目指す。山頂では北穂高岳から縦走してきたたくさんの登山者がいる。今日は徳沢まで下るのでそうそうに下山。10時30分穂高岳山荘をスタート。ザイテングラードを下山中、頭上をヘリコプターが舞う。事故でもあったのだろうか。涸沢ヒュッテに無事下山。食事中多くの登山者が「今日北穂高岳で滑落事故があった」と話していた。登山は危険と隣り合わせだ。今回も無事だから次回も無事という保証はない。注意しよう。12時40分徳沢ロッジ目指して下山。11時間も歩き、足も重たくなる。4時半やっと徳沢に到着。徳沢ロッジに泊まる。食事中「どこから?」。「広島から来ました」というと「今日広島では大きな地震があったそうですよ」。びっくりして家に電話。たいしたことがなく一安心。
 
 10月7日 今日も快晴。地震が気になり早めに帰ることにした。上高地を10時半に出発。13時過ぎに松本駅を発ち、広島には19時ごろ帰った。地震の被害はなかった。

 リュックや登山用品をやっと片付けた。するとまた無性に山に行きたくなった。私だけだろうか。