駅ホーム転落事故
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 最近、特に関心が高まっている駅ホームの転落防止対策。

駅ホームの点字ブロックを探る人の写真

 2016年8月には東京メトロ銀座線青山一丁目駅で、10月には近鉄・河内国分駅で視覚障がい者がホームから転落。2017年1月盲導犬と一緒に歩いていた63歳の男性がJR京浜東北線蕨駅でホームから転落して電車にはねられて死亡する事故が発生し、安全対策の必要性が叫ばれている。

 2016年に起こった2件の事故により国土交通省は、駅構内で一人で歩く視覚障がい者を見かけたら必ず声をかけるよう通達した。だが、2017年1月の事故により、徹底するよう再度通達した。

国土交通省のデータによると、2014年度に全国で発生したホームからの転落(列車などと接触しなかったケース)は3673件(内40%が酔っ払い)。その内80件が視覚障がい者でした。単純に計算すれば、全国で1日に約10人がホームから転落しており、4日から5日に一度は視覚障がい者が含まれることになる。
また2010年から2015年までの6年間で、視覚障がい者の転落事故は471件でした。

 一般的な構造の駅ホームでは、跨線橋や地下道の階段を出て直角に進むとホームの端に行き当たります。ホームの端には点字ブロックが設置してあり、視覚障がい者は杖や足などでこのブロックを確認し、ホームの端に来ていると認識する事ができる。
では、その際に有効な安全対策は何だろうか。もっとも有効なのは、物理的に転落を防ぐホームドア(可動式ホーム柵)である。

より早期に整備が可能な手段として視覚障がい者から有効性を指摘する声が多かったのは、駅員などによる声かけと、現在整備が進む「内方線(ないほうせん)付き点字ブロック」である。

内方線付き点字ブロックとは、ホームの内側寄りに線状の突起(内方線)があるブロック。この線があれば、杖や足でどちら側がホームの内側なのかを把握できる。

 2016年3月現在全国の駅はおよそ9500ヶ所のうち、ホームドアが設置されている駅は、665ケ所です。
2020年までに広島駅にホームドアを設置するとの発表がありましたが、広島県内で一つだけです。
ホームドアがない駅での転落事故を、どうやってなくすか対策も考えていく必要がある。
視覚障がい者の誘導、案内の方法をポスターなどで示して、周囲の乗客の方から気軽に声をかけられるように、車内放送やポスターで啓発活動をして欲しいと思います。

 私たち視覚障がい者も、なれているからといって油断をしないようにしなければなりません。
ある調査によると、ホーム転落の経験者の内なれた駅での転落が72%にのぼります。
「今日は、いつもと違う!」と思ったら、周りにおられる方に「お手伝いをお願いします」と、サポートをお願いしましょう。

内方線付き点字ブロックの写真

光覚(こうかく・光を感じる程度の視力)の60代男性の体験とお願い

 わたしは30年余り白杖を使い単独歩行で、JRを利用して通勤しました。今まで転落したことはありませんが、これは好運だったのかもしれません。
わたしは安全に移動するために事前にできるだけ情報を集めて頭の中で地図を描くようにしています。
 また、歩行時は常に何かしらの目印を確認して安全を確保してきました。
ホームのエスカレーターと階段付近では録音された鳥の声がするので位置を確認することができます。

 本当は内方線のある点字ブロックの内側を歩きたいのですが、長い列で並んでいる時などは難しくなります。
こんな時、ホームの中央に誘動点字ブロックが敷設されていると安心してあるくことができます。

 わたしが日々感じているのは、慣れているところほど危険が多いことです。
わたし自身、何度か怖い経験をして近くにいた方に助けていただきました。
改札口に向かう途中、人にぶつかって違う方向に歩きだしたとき、「こちらは改札口とは反対方向ですよ」と声をかけていただきました。
この声かけがなかったらと思うと、「ぞーっと」します。 このときは、本当に助かりました。

 晴眼者の皆様、駅構内で何か変だなと気付かれたら、「何かお手伝いしましょうか?」と声をおかけいただきますよう宜しくお願いいたします。

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