高橋 藍川

高橋藍川。名は宗雄、道号は泰道、藍川と号す。和歌山県臨済宗成道寺に生まれる。(明治39年9月 19日)。父より詩法を学ぶ。少壮にして上村売剣に師事。昭和15年『黒潮吟社』を創立。月刊詩誌『黒潮集』を発刊。著書に「藍川詩集」「漢詩講座」「藍川百絶」「藍川百律」等。その多作に措いては「国分星崖」に比すと言う。齊号を「撃竹山房」。別に「夢笛楼」と号す。

   歳除有作
坐聴霜鐘百八声。     坐して聴く 霜鐘 百八声
蕭蕭疎鬢対灯檠。     蕭蕭たる 疎鬢 灯檠に対す
紅廬活火茶三椀。     紅廬 活火 茶 三椀
荒樹寒雲月四更。     荒樹 寒雲 月 四更
一片何堪衰老感。     一片 何ぞ堪えん 衰老の感
数行欲写餞年情。     数行 欲写さんと欲す 餞年の情
宛如蚕子吐糸尽。     宛も 蚕子が 糸を吐き尽すが 如く
捫断枯腸詩不成。     枯腸を捫断すれど 詩 成らず

  夜坐口占
風入庭蕉??鳴。     風は庭蕉に入り手 ??と鳴る
雲光冷淡月初更。     雲光 冷淡 月 初更
坐来独聴凄涼響。     坐来 独り聴く 凄涼の響
白尽吟髭是此声。     吟髭を白尽する 是れ此の声