漢 詩 作 詩 講 座    (17)

◇映像文化時代到来で活字離れが憂慮されて久しい。漢詩自体,衰退の一途。詩語は死語になりつつある。規約,規律が多い,古臭い,と言う中で,漢詩愛好者は多い,漢詩のリズム,漢詩独特の雰囲気が我々に郷愁を呼び起こさせる。

漢詩は読むだけでも楽しい。その時代背景を理解すれば一層,漢詩が面白くなる。漢詩をよめば,その作者と夢裡の中で共に遊興できる。日本伝来2千余年,中国,日本の先哲者の書き残した貴重な作詩遺産を残すのが現存する人間の使命と感じ,PCという媒体を借りて,書き残し続けたい。

盛唐で詩の花は全盛を誇った。
宋代に入って花が落ちて果実となった。
果実は樹木となり元代で落葉してしまった。
清代の詩人は自から最初の大根原より学ぼうとした。

詩は味得すべきで、解得るべきではない。含蓄ある言葉。

◇中国は教育水準を高める為に推進されたのが”文字改革”(1)標準語の制定。(2)漢字を表記する為の表音文字の作成。(3)漢字の簡略化、を3本柱として進め、1965年「簡化字総覧」を公布された。

これに先だつ10年前、1955年「バンドン会議」の際、当時の日本政府代表、高崎達之助氏と中国の周恩來首相がこっそり会談した。周恩来は 『
中・日で同じ略字体を作る為に両国の学者の会議を持ちたい、政治体制は異なっていても、百年、千年後の子孫の遺産となる。』と会議の提案を伝えてきた。

57年暮れ、外務省中国課長0氏は当時の岸信介首相に経緯を説明し指示を仰いだ岸信介の答えは
 『
余計なことはしなくてもよい』 だった。現在、両国は別々の略字を採用している。時の為政者の軽重の判断が百年の計、乃至歴史上に永遠に ”汚点を残す”。実践の例。

◇仔細に付いては朝日新聞社・93年2月28日付。98年11月11日付の縮小版は図書館で閲覧できる。


◇中国語辞書に「現代漢語詞典」中国社会科学院語言研究所詞典編輯室編。中国商務印書館。がある。中国語学習者なら誰でも机上に用意する。1978年編集以来,已に3000萬冊を超えた超ベストセラー,原版を薦める。中国書籍専門店で容易に入手できる。


 2001/06/23
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    時事偶感     石 九鼎

冠冕沐猴輩。    冠冕 沐猴の輩
被身觚不觚。   身を被すに 觚にして觚ならず
垂名復何用   
垂名 復た 何ぞ用いん
自笑画胡蘆   
自ら笑うて 胡蘆を画


                

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閑話休題。

中国料理に「フカヒレ」がある,サメ一体から3つ取れて,40センチ以上のものは壱萬六千円の値が就くと言う(2003年現在)。清の乾隆帝は自からツバメの巣を好んだ,海の幸は苦手だった。乾隆帝は騎馬民族の満州族であったため,山の幸を好んだ。生涯彼はフカヒレに箸を着けることは無かった。

名君,乾隆帝は中国料理の一級品の味を知ることなく,世を去った。


                                         完了
                                        2003/8/


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