漢 詩 作 詩 講 座  (9)

推敲
■一詩出来たら,漢詩作詩4原則に照らし,誤りは無いか先ず険する。その上で『推敲』を重ねて行く。自分が作詩した大事な詩である,人間,人まえに出る時は,身分相応の衣装を着て出かける。詩は体を表す。自分の分身に相応しい。然るべき先生,先輩に批正を乞うて始めて公式に発表する。

■白楽天は一詩を作る度に,一老嫗に作詩したものを見せて,解るか否か問うた。解ると言う時はこれを輯録し,解らないと言う時は,修辞補正し,これを易うと言う。(冷斉夜話)

■又,嘗て洛陽里の一士人の家に白楽天の詩草数紙が発見された。点竄塗抹その成篇に及んでは殆ど初作と同じは無かった。(張文潜)

■杜甫は,新詩,改罷自から長吟し,文字頻りに改めれば工夫,自ら出づと伝える。
■欧公は文を作ると,先ず壁に貼りつけ毎日その文を見て,竄定を加える,終篇一字を留めなものは無かった。(呂氏童蒙訓)

■欧公は嘗て,文を作るに三多有り。看(読)ること多,做(作)すこと多,商量(諮)すること多。私は詩に措いても又このようであると言う。

絶句が相当に作れる様になると対句を作ってみたくなり律詩へと進み得る。出来た句を対にして行く為の対法を参考事例として清朝名家の対聯を下記に供したい。

王漁洋
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楚塞雲山秋煙近    楚塞の雲山 秋 煙近く
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江楼玉笛夜凄清    江楼の玉笛 夜 凄清たり
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高秋過雁傷心色    高秋の過雁 傷心の色
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冷雨層城薄暮寒。   冷雨 層城 薄暮 寒し
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芳草一簾花外馨。   芳草 一簾 花外の馨
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緑陰半榻雨中燈。   緑陰 半榻 雨中の燈
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呉梅村
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千山極目風塵暗。   千山 極目すれば風塵 暗し
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一老狂歌天地秋。   一老 狂歌す 天地の秋
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病眼生涯同落木。   病眼の生涯 落木と同じ
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乱來身計逐飄蓬。   乱來の身計 飄蓬を逐う
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憂時危論書千巻。   時を憂い危論す書千巻 
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懐古高歌酒百壷。   古を懐い高歌す酒百壷
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袁簡斉
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書巻一編常按日。   書巻 一編 常に日を按じ
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梅花三百自成村。   梅花 三百 自ら村を成す
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萬古少圓唯月色。   萬古 圓なること少く唯だ月色
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四時多恨是春心。   四時 恨み多く是れ春心
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春在東風原是夢。   春は東風に在り原と是れ夢なり
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生非薄命不為花。   生は薄命に非らず花の為にあらず
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