佩文斎詠物詩選　（11）　　 　◇清明類 　清明日狸渡道中　　　宋　　范成大 春城間望愛晴天。　　　春城の間望　晴天を愛す 何処風光不眼前。　　　何処の風光か眼前ならず 寒食花開千樹雪。　　　寒食花開く　千樹の雪 清明日出万家煙。　　　清明日出で　万家の煙 興來促席唯同舎。　　　興來　席を促す唯同舎　　 酔後狂歌尽少年。　　　酔後の狂歌　尽く少年 聞説啼鴬却惆悵。　　　聞説く啼鴬　却て惆悵 詩成不見謝臨川。　　　詩成て見ず謝臨川 　　　清明夜　　　　唐　　白居易　 好風朧月清明夜。　　　好風　朧月　清明の夜 碧砌紅軒刺史家。　　　碧砌　紅軒　刺史の家 獨遶廻廊行復歇。　　　獨り廻廊を遶りて行きて復た歇む 遥聴弦管暗看花。　　　遥として弦管を聴て暗に花を看る 　　　清明前一日作　　明　　錢渙 小窓新緑著枝軽。　　　小窓の新緑　枝に著けて軽し 寒逐東風陣陣生。　　　寒は東風を逐て　陣陣生ず 燕子不來花落尽。　　　燕子　來たらず花　落ち尽す 一簾疎雨又清明。　　　一簾の疎雨　又清明 　　　清明　　　明　　葛一龍 今日還留昨日寒。　　　今日　還た留む昨日の寒 一年春又客中境。　　　一年　春又　客中の境 太湖石畔紫門影。　　　太湖　石畔　紫門の影 魚嚼飛花上釣灘。　　　魚は飛花を嚼んで釣灘に上る 　　◆上巳類 　　三月三日泊虞山下　　　明　　程嘉燧 草堂寝歴自禅居。　　　草堂　寝歴　自から禅居 山下春光正拔除。　　　山下の春光　正に拔除 隣犬人帰繊月夜。　　　隣犬　人帰る繊月の夜 木魚風落妙香初。　　　木魚　風落つ妙香の初 蕭疎遠岫雲林画。　　　蕭疎の遠岫　雲林が画 映帯清流内史書。　　　映帯する清流　内史の書 　　三月三日定昆池　　　唐　　張説 暮春三月重三春。　　　暮春　三月　三春を重ねる 春水桃花満禊潭。　　　春水　桃花　禊潭に満る 広楽逶迩天上下。　　　広楽　逶迩　天上の下　　　 仙舟遥衍鏡中酣。　　　仙舟　遥衍　鏡中に酣なり 　　到江西省看花　　　明　　楊基 東湖東畔柳絲長。　　東湖　東畔　柳絲　長し 満苑飛花乱夕陽。　　満苑の飛花　夕陽に乱れる 何処拔除児女散。　　何処の拔除　児女散じ 過來流氷鬱金香。　　過來る流氷　鬱金香 　　◆午日類 　　楊州端午呈趙師　　宋　　載復古 榴花角黍闘時新。　　　榴花　角黍　時新を闘しむ 今日誰家不酒樽。　　　今日　誰が家　酒樽ならず 堪笑江湖阻風客。　　　笑うに堪える江湖　風に阻むる客　 却随蒿艾上朱門。　　　却って蒿艾に随い朱門に上る　　 　　◆七夕 　　閨月七夕織女　　　唐　　王湾 耿耿曙河微。　　耿耿たる曙河は微なり 神仙此夜稀。　　神仙　此夜稀なり 今年七月閨。　　今年　七月閨 応得両廻帰。　　応に両廻帰ることを得るべきに 　　乞巧　　　唐　　林傑 七夕今宵看碧霽。　　七夕今宵　碧霽を看る 牽牛織女渡河橋。　　牽牛織女　河橋を渡る 家家乞巧望秋月。　　家家乞巧　秋月を望む 穿尽紅絲幾満條。　　穿ち尽す紅絲　幾満條 　　秋日田園雑興　　宋　范成大 朱門乞巧沸歓声。　　朱門　乞巧　歓声を沸す 田園黄昏静掩亭。　　田園黄昏　静に亭を掩う 男解牽牛女能織。　　男は解く牛を牽く　女は能く織る 不須邀福渡河星。　　河星を渡る福を邀ることを須いず 　　七夕　　　明　　石玲 七月七日風雨多。　　七月七日　風雨多し 御橋南望水増波。　　御橋　南望すれば水　波を増す 鴛鴦自向沙頭宿。　　鴛鴦自ら沙頭に向うて宿す 不管牛郎信若何。　　管せず牛郎　信に　いかんせん 　目次 　　　　　　　　　　　　　　　　Copyright (C) 1999-2004 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石九鼎の漢詩舘 　 　　　　　　　　　　　 　thhp://www.ccv.ne.jp/home/tohou/habun11.htm 　　　　　　　　　　　　　このページのリンクは自由です。無断コピーは禁止します