班婕妤

前漢の女性文学者。幼少のころから,その才能を発揮し,成帝の時,宮廷に入り寵愛を班婕(女官名)に封じられた。然し,やがて趙飛燕姉妹が成帝の寵愛を奪い,その上,班婕妤が呪術を使用したと言う讒言をうけ,称号を廃されて皇帝の側を去った。その後は太后に仕え,死に到るまで園陵(天子の墓)に勤めた。死後は園内に埋葬された。彼女の作品は際立った哀婉さが知られる。

この詩は飛燕の讒を蒙った時に作つたもの。怨歌行の「行」は曲と同じ。最初の四句は美しく清潔な白扇を以って自らに比して,当初の愛情の濃やかで有ったことを述べ,最後の2句は恐れていたものが来たことを嘆いている。

      怨歌行
   新製斉(糸丸)素.。 新製の斉(糸丸)の素
   皎潔如霜雪。    皎潔霜雪の如し
   裁成合歓扇。    裁ちて合歓の扇と成す
   団団似名月。    団団として名月に似たり
   出入君憶袖。    君が憶袖に出入りし
   動揺微風発.。    動揺して微風発す
   常恐秋節至。    常に秋節の至りに
   涼颷奪炎熱。    涼颷の炎熱を奪はんことを恐れる
   棄損篋笥中。    篋笥の中に棄損せられて
   恩情中道絶。    恩情 中道に絶える

 『通釈』
昔漢の成帝の班婕妤は成帝の寵愛を失うてから、、皇太后の居された長信宮に退い てお仕えたそして賦を作って自ら傷んだ、その時、怨詩一首を作った。その詩は
新しく斉の国産の白絹を裂くと、潔白で、まるで雪や霜のようだ、それを絶ち切って会わせ貼りの円扇を作ったら、まんまるで満月ようである。
この扇は、いつも我が君の懐や袖に出入りして、動かすたびに、そよ風を起こしていた。然し心にかかるのは、秋の季節が訪れて、涼風が暑さを奪い去ると、わが身は秋の扇として、箱の中に投げ込まれ、君の、お情けも中途で絶えてしまうことです。
扇をもって作者自身に比し、温厚にして清怨な作として知られる。



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