○○○ 過蘆溝橋有感一賦

国是由來宣大猷。       国是 由来 大猷を宣ぶ
濫竿得意劇蚩尤。       濫竿 意を得て蚩尤よりも劇し
肝義胆空文耳。       忠肝 義胆 空文のみ

欲弔英霊与楚囚。       弔わんと欲す 英霊と楚囚


                                                  
               


【語意】
〇 題目。蘆溝橋を過ぎ感有り一賦する。
〇 国是 ⇒ 国が正しいとする政策。 国家の方針。
〇 宣 ⇒ のべる。発揚する。
〇 大猷(たいゆう)⇒ 大きなはかりごと。
〇 濫竿(らんかん)双声語 ⇒ (濫吹) 無能の者が才能の有るように見せかけること。大勢で笛を吹けば、ごまかせたが、一人で吹かされて無能が露見したと言う故事。
〇 劇 ⇒ はななだしい。
〇 蚩尤(しゅうゆう)⇒ 黄帝時代の諸候の名。兵乱を好み、黄帝に滅ぼされた。(史・五帝紀)

〇 忠肝義胆 (互文構成)⇒忠義肝胆、漢詩創作の時、この様な例を用いて平仄を補う。
〇 空文(くうぶん) ⇒ 実際に役に立たない文章。役にたたない法律。
〇 耳 ⇒ のみ。・・・だけ。・・・ばかり。
〇 英霊 ⇒ ここでは、戦死の霊を言う。(日本軍の戦没者)
〇 楚囚(そしゅう) ⇒ 楚の鐘儀が晉に捕らわれていた時、いつも楚の冠をつけて、故国を忘れなかったと言う故事。転じて、捕らわれて他郷にある者。此では、中国人民兵士達。 

◇ 1937年7月7日夜10時40分、蘆溝橋の夜空に一発の銃声が響いた。日本軍の北支駐屯軍清水中隊135名が中国の国民党第29軍の目先程の場所で夜間演習を行っている時、「兵士一名行方不明」の情報はすぐ豊台の第三大隊に連絡された。豊台の日本軍は蘆溝橋に進行し、日本軍の中国全土におとぶ侵略戦争が開始された。



     

               




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