石九鼎の漢詩>12
會仙亭詩酒宴有作
嶺号紫雲塵自捐。 嶺号 紫雲 塵 自ら捐る
會仙亭裡結清縁。 會仙亭裡 清縁を結ぶ
忽成佳句高吟好。 忽ち佳句なり 高吟好し
月照勾欄赤壁淵。 月は照らす勾欄 赤壁の淵
【題目】 会仙亭詩酒の宴作有(会仙亭は四国・栗林公園にあり)
○ 嶺号: 栗林公園里の背部にある山領。
○ 紫雲: むらさき色の雲。めでたいしるし。
○ 捐(えん): すてる。のぞきさる。(棄捐)
○ 勾欄: 宮殿の廊下など端のそり曲がった手すり。らんかん。
○ 赤壁淵: 栗林公園、会仙亭にある赤壁と淵。
(栗林公園の名所の一つ)
石九鼎の漢詩>13
書屋卜築偶一絶
風揺蕉葉緑天舒。 風 蕉葉を揺るがし緑天舒なり
衣羽山隈新草蘆。 衣羽山隈 新草蘆
擁膝長吟凝黙想。 擁膝 長吟 黙想を凝らす
燕泥時穢読残書。 燕泥 時に穢す 読残書
【題目】 書屋卜築し偶々一絶。(書斎を卜築して偶々一絶を作詩す。)
○ 緑天: 芭蕉の緑あざやかな時節を言う。
また、唐の僧侶・懐素の居所の名を緑天。芭蕉数万株を
植えたから言う,今、中国湖北省の零陵県の東門外にあると言う。
○ 舒: (じょ) ゆるやか。おもむろ、の意を表す。
○ 衣羽山: 山の名。(梁川星巌が頼山陽を安芸の国、広島に
尋ねた時、衣羽(江波)の旅亭で牡蠣を食べて詩に残した際、
衣羽山が地名として残るに元ずく。
○ 隈: 山の曲がり入りかんだ所。水が岸に曲がりこんだ所。
ここでは山の 麓の意。
○ 草蘆: 書屋。書斎。(詩的表現で屡、使う詩語)
○ 穢:(わい): けがす。よごす。
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