閑 吟

高臥閑茅夢不寧。     高臥 閑茅 夢 寧からず
紛紛人世似浮萍。     紛紛たる 人世 浮萍に似たり
雖非屈平亦惆帳。     屈平に非ずと雖も 亦 惆帳
悩殺涼涼事独醒。     悩殺 涼涼 独醒を事とす

    【語意】 閑吟
      ○ 高臥: のんびりしたさま。官に仕えないこと。
      ○ 紛紛: まじりみだれるさま。わずらわしい。
      ○ 浮萍: うき草。
      ○ 屈平: 屈原(前343〜前277)戦国時代・楚の人。
       人の嫉みをうけ追放され「離騒」を作って志を示した
       襄王の時、再び追われ、泪羅に身を投じて自殺した。



      ○○ 賞 菊

夙甘隠逸不希魁。     夙に隠逸に甘んじ 魁を希わず
貧士籬辺潤露開。     貧士の籬辺 露を潤して開く
莫謂傲霜持苦節。     謂う莫れ 傲霜 苦節を持し
幽芳独覓解詩才。     幽芳 独り覓む 詩を解すの才と

    【語意】 菊を賞す
      ○ 隠逸: 世を避けて隠れる。(周敦頤・愛蓮説。
         菊、花の隠逸の者也)
      ○ 不希: 願わず。 
      ○ 魁: さきがけ。第一番。
 
      ○ 傲霜: 霜にあっても枯れない。
         (蘇軾・詩 残菊猶有傲霜枝)