春郊所見

雨後川原積潦多。      雨後の川原 積潦 多し
綺羅一隊冒風波。      綺羅の一隊 風波を冒す
兔葵燕麦無情美。      兔葵 燕麦  無情の美
奈此眼前光景何。      此の眼前の光景を奈何んせん

   【語意】 春郊所見  (煌びやかに飾り立てた綺羅一隊を風刺したもの)
     ○ 積潦: 大水。水の多いさま。
     ○ 綺羅: 美しい着物。またそれを着た人。(国)派手に着飾る。
            栄華を極めるさま。
     ○ 兎葵燕麦(ときえんばく): 名ばかりで実のないこと。




         ○ 梅天無聊

憂鬱梅天疎懶侵。      憂鬱たる梅天 疎懶を侵す
臥聞檐滴拊焦心。      臥し聞く檐滴 焦心を拊す
壓窓蕉葉供詩眼。      窓を壓する蕉葉 詩眼に供す
試篆蝸牛歩砌陰。      篆を試みる 蝸牛 砌陰を歩むを 

  『語意』 梅天無聊 (梅雨時節の退屈さを思いのままに書す。無聊は退屈。)
     ○ 疎懶 (そらん): おろそかにする。なまける。
     ○ 焦心 (しょうしん): 気をもむ。心をいためる。いらだつ。
     ○ 焦葉 (しょうよう): ばしょうの葉。
     ○ 篆(てん):篆書のように曲がりくねったもの。
     ○ 砌陰 (せいいん): みぎり。



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