巌島探秋

朱楼丹閣夕陽幽。    朱楼 丹閣  夕陽 幽なり
独領紅楓儘採秋。    独り紅楓を領し 儘 秋を採る
記得去年霜葉晩。    記し得たり 去年 霜葉の晩れ
題詩煖酒趁風流。    詩を題し酒を煖 風流を趁う

  【語意】 巌島探秋
    ○ 朱楼丹閣: 朱色の楼下と丹色の楼閣。(宮島神社の回廊)




       ○○○除夕祭詩

一双吟涙灑来空。    一双の吟涙  灑ぎ来って空し
痩骨如柴髪似蓬。    痩骨 柴の如く 髪 蓬に似たり
不奈佛龕無可祭。    奈んとも不ず 佛龕 祭るべき無きを
独傾臘酒待春風。    独り臘酒を傾けて 春風を待つ

 【語意】 除夕祭詩
  ○ 祭詩(さいし): 
    一年間の自作の詩をまつり、自分の苦心を慰める。唐の賈島
    が大晦日の晩に一年間の自作詩を祭り自分を慰めた故事による。
  ○ 佛龕(ぶつがん): 仏像を納める厨子。
  ○ 臘酒(ろうしゅ): 酒。陰暦十二月にかもす酒。



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