○○○ 初夏雑題
春去夏来難結夢。 春去り 夏来たりて 夢を結び難く
緑肥紅痩却牽愁。 緑肥え 紅痩せ 却って愁いを牽く
南華読罷拠梧睡。 南華 読み罷めて 梧に拠り睡れば
忽作蝶魂尋艶遊。 忽ち蝶魂となり 艶を尋ねて遊ぶ
【語意】初夏雑題
○ 南華(なんか):(胡蝶の夢。) 荘子が、ある時、夢で蝶になった。
ひらひら気持ちよく飛んでいて、それが自分であることが判らな
かった。ふと目覚めると、もとのままの自分であった。考えてみる
と、これは【一体、自分が夢の中で蝶になったのか、それとも
本当は蝶が自分であって、蝶が夢の中で自分になっているな
のか判らない。】と言う寓話。萬物一体の境地。
人生のはかないたとえ。(前対格詩)
初聴蟲声
蕭然環堵意何窮。 蕭然たり環堵 意 何ぞ窮まらん
新雨纔過引細風。 新雨 纔に細風を引いて過ぐ
況此逢秋起居夜。 況や此の秋に逢う 起居の夜
不聴蝉語聴鳴蟲。 蝉語を聴かず 鳴蟲を聴く
【語意】 初めて蟲声を聴く
○ 環堵(かんと): 家の周りの垣根。
○ 蝉語(ぜんご): せみの声。
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