張 華 情詩二首之一 遊目四野外。 目を四野の外に遊ばせ 逍遥獨延佇。 逍遥として獨り延佇す 蘭恵縁清渠。 蘭恵は縁清渠に縁り 繁華蔭緑渚。 繁華は緑渚を蔭う 佳人不在茲。 佳人は茲に在らず 取此欲誰與。 此を取るも誰にか與へんと欲す 巣居知風寒。 巣居しては風の寒さを知り 穴処識陰雨。 穴処しては陰雨を識る 不曽遠離別。 曽て遠く離別せざれば 安知慕儔侶。 安んぞ儔侶を慕うを知らん ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 四方の野辺をあちらこちらと見渡しつつ 一人でぶらぶらしたり、留まり、佇んだりする 蘭や薫の香草は水清らかな溝に沿て生じ 咲き乱れたその花は緑の水ぎわを蓋ている 私の夫は他所に行き、此処には居ない この花を折り取っても誰にも贈りようが無い 巣の中に棲むものこそは、風が吹いて寒いことを知る 穴の中に居るものこそは、空が曇り雨が降ることを識る 私と夫は遠く離れて、いなければ 如何して夫を恋い慕うことを知り得たであろう、離れてみて始めて解かり得た ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 張華(232-300)字は茂先、河北省の人。幼少で孤となり、貧しく、自ら羊を牧した。学業は優れ、且つ博く、辞藻は温麗。魏の初め、太常博士に挙げられ、晉に入っても仕え功績が多い 趙王倫、孫秀の為に害せら、三族の近親までも殺された。卒する日、家には余資なく、ただ文書が箱に溢れるほどあっただけである。彼は賦のみならず、五言詩を善くした。 Copyright (C) 1999-2004 石九鼎の漢詩舘 thhp://www.ccv.ne.jp/home/tohou/kangi11.htm このページのリンクは自由です。無断コピーは禁止します |