徐陵

漢魏六朝詩選　　２７　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　石九鼎の漢詩館

　　徐　陵

　　別毛永嘉　　　　毛永嘉に別れる
願子厲風規。　　　願はくは子　、風規に厲（はげ）み
帰来振羽儀。　　　帰来　羽儀を振い
嗟余今老病。　　　嗟　余れ今老い病む
此別空長離。　　　此の別　空しく長へに離れん
白馬君來哭。　　　白馬　君　來たり哭すとも
黄泉我何知。　　　黄泉　我れ何ぞ知らん
徒労脱宝剣。　　　徒に労せん宝剣を脱し
空掛隴頭枝。　　　空しく隴頭の枝に掛かるを

　　　・・・・・・・・・・・・・・・α・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は、病により、あなたより、お先にかえりますが、徳風に励んでください
帰来後は、鴻の羽のような美しく、秩序ある正しいさを人々に示されることを祈る
ああ、私は今、老い、病でもある
此の別が永遠の別れになるだろう
白馬に乗って悔やみに来てくれても
黄泉の湧く地下の人となっては、どうして知ろう
呉の季礼が徐君の墓前に木に宝剣を空しく掛けて去ったように
私の墓前に立ち寄っても、無駄になるだけだ、虚しい思いだ。

　　　　　・・・・・・・・・・・・・・・・・・・α・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

徐陵（507～583)字は孝穆、山東省に人。梁に仕え、祖父の代から文名が高く、幼時八歳で能く
文を学び、十二歳にして老荘の義に通じたという。徐陵は文は散文が多く，詩は四十首あるだけ

「ゆ信」とならび表された。『文選』と『玉台新詠』は六朝末期に編された詩集であるが、この、
『玉台新詠』はを撰したのも徐陵。「文選」も「玉台新詠」も典雅流麗にして六朝作品の粋をなす代表作を収めている。

徐陵の詩は愛誦されたが、華美で気韻に乏しい、と評されている。