伊藤博文 春畒伊藤博文・長州の人、初名は俊輔。松下塾に学ぶ、討幕運動に活躍、明治政府にあって、帝国憲法の制定、天皇制の確立に尽力、初代首相、枢密院議長、立憲政友会総裁など歴任。組閣４度に及ぶ、その間、日清戦争を遂行。1905年（明治38年）初代韓国統監。ハルピンで安重根に暗殺された。 　　　　　　艦中作 艨瞳遙到欧羅巴。　　　　　艨瞳　遙かに到る　欧羅巴 指点看過仏利加。　　　　　指点　看過す　仏利加 洗洗碧天雲産月。　　　　　洗洗たる　碧天　雲　月を産す 茫茫蒼海浪生花。　　　　　茫茫たる　蒼海　浪　花を生ず 一年身作他郷客。　　　　　一年　身は　他郷の客と作す 萬里夢帰故国家。　　　　　萬里　夢は　故国の家に帰る 昨夜南溟此巳尽。　　　　　昨夜　南溟　此巳尽きる 回頭帆上北辰斜。　　　　　頭を回らせば　帆上　北辰　斜めなり 　　　　　　石狩客次 蹇蹇匪躬豈思帰。　　　　　蹇蹇たる　匪躬　豈に帰を思わん 満天風露湿征衣。　　　　　満天の風露　征衣を湿らす 秋宵石狩山頭夢。　　　　　秋宵　石狩　山頭の夢 尚向黒龍江上飛。　　　　　尚を　黒龍江上に向かって飛ぶ 　　　　　　書　懐 読書灯底静無譁。　　　　　読書　灯底　静かなること譁すし無し 自笑平生苦蔽遮。　　　　　自から笑う　平生　蔽遮に苦なるを 好抛胸間人欲念　　　　　　好し　胸間　人の念いを欲せんとを抛げうち 獨観寒月照梅花。　　　　　獨り　寒月　梅花を照らすを観ん 　　　　　　飲某楼 豪気堂々横太空。　　　　　豪気　堂々　太空に横たはる 日東誰令帝威隆。　　　　　日東　誰か帝をして威隆せしめん 高楼傾尽三杯酒。　　　　　高楼　傾むけ尽くす　三杯の酒 天下英雄在眼中。　　　　　天下の英雄　眼中に在り 　　　　　次中島君韻 報国真情誰識深。　　　　　国に報じる真情　誰か深きを識らん 非君無復語斯心。　　　　　君に非らざる　復た斯心を語るに無し 請見別代英雄業。　　　　　請う見よ　別代　英雄の業 時勢変遷古似今。　　　　　時勢の変遷　古しえは今に似たる 　　　　　　　石　九鼎　　　２００９／０２／１７