草場船山 草場船山／肥前の儒者・名は廉・字は立大。佩川の子。京都に住し篠崎小竹などに学ぶ、明治二十年正月十六日没。年六十九。　　（緒家著述目録） 　　　　　謝安石囲碁図� 兵戈満目奕碁同。　　　　兵戈満目　奕碁同じ 一着喜聞児童功。　　　　一着喜聞ぶ児童の功 却是乃翁間伎𠈓。　　　　却て是れ乃翁　間伎の𠈓 区区勝敗未分中。　　　　区区勝敗　未だ分たずの中 　　　　　寄題鞆津対仙酔楼 仙山宛在海之中。　　　　仙山　宛も海の中に在り 縹渺上見妙音宮。　　　　縹渺　上に見る妙音宮 夜深月明聞仙薬。　　　　夜深月明　仙薬を聞く 颯如潮響和松風。　　　　颯として潮の響が如く　松風に和す 幽人是時酒初醒。　　　　幽人是の時　酒初めて醒める 起倚楼欄夢朦朧。　　　　起って楼欄に倚る　夢朦朧 鶴涙一声不知処。　　　　鶴涙一声　知らざる処 暁煙如藍月已空。　　　　暁煙藍の如く　月已に空 　　　　　　赤　壁 漢火光微属鼎争。　　　　漢火光微に　鼎争に属す 地分南北大江横。　　　　地は南北に分ち　大江横たはる 片帆窺便周郎策。　　　　片帆　便に窺う　周郎が策 斗酒佐歓蘓婦情。　　　　斗酒　歓を佐す　蘓婦の情 銅雀台空無富貴。　　　　銅雀台空し　富貴なし 金蓮燭冷尚才名。　　　　金蓮燭冷やかに　尚才名 興亡唯有山河識。　　　　興亡　唯だ山河の識る有り 千歳風清又月明。　　　　千歳　風清し又た月明 　　　　　　酔李白図 天子亦能容酔眼。　　　　天子亦た能く　酔眼を容る 長安市上酒如泉。　　　　長安市上　酒　泉の如し 鏡中白髪三千丈。　　　　鏡中　白髪　三千丈　 莫是銀河落九天。　　　　是れ銀河の九天より落つる莫れ 　　　　　　　2009/03/22 　　　　　　　　　　石　九鼎の漢詩舘