秋　村 柴秋村名?字糸野別号繭山阿波人天保紀元庚寅生。 　　　　　　聞　虫 窮巷唯聞虫語親。　　　窮巷唯聞虫語の親きを 夜煙如海圧松?。　　　夜煙海の如く松?を圧す 天涯久客秋衣薄。　　　天涯の久客秋衣薄く 故国曽無促織人。　　　故国曽て促織の人無し 　　　　　　寒夜脱御衣図 漫漫夜雪圧宮?。　　　漫漫たる夜雪宮?を圧す 念及寒民事実稀。　　　念寒民に及ぶ事実に稀なり 大息他年西海月。　　　大息す他年西海月 御香空染遂臣衣。　　　御香空く染る遂臣衣 　　　　　　題浪萃名勝画巻　（八首之一） 高高新月上層城。　　　高高新月層城に上る 舟向浪萃橋下行。　　　舟は浪萃橋下に向て行く 花火迸空紅燭閙。　　　花火空に迸て紅燭閙し 遊人只借納涼名。　　　遊人只借る納涼の名 　　　　　　月下聞虫 獨坐深宵百感生。　　　獨深宵に坐して百感生ず 半天月與寸心明。　　　半天の月と寸心と明なり 空庭蟋蟀聴偏苦。　　　空庭の蟋蟀聴て偏に苦し 或怕吾文似個声。　　　或怕る吾文個声に似たるを 　　　　　　吾　蘆 吾蘆高枕趣尤長。　　　吾蘆枕を高して趣尤長し 破帽疲驢已十霜。　　　破帽疲驢已に十霜 一笑?衾残夜夢。　　　一笑かす?衾残夜の夢 何心却復向他郷。　　　何心却て復他郷に向う 　　　　　芭蕉翁賛 十七言歌百世師。　　　十七言歌百世の師 水雲託迩比禅緇。　　　水雲迩に託して禅緇に比す 後人識取帳中秘。　　　後人識取す帳中の秘 敗簾唯存老杜詩。　　　敗簾唯存す老杜の詩