迂　堂 巌谷迂堂名修字成卿近江人天保五年甲午生。 　　　　　湖上早春 垂楊緑?未蔵鶯。　　　　垂楊　緑?にして　未だ鶯を蔵さず 山雪半鎖寒漸軽。　　　　山雪　半ば鎖して寒漸ｋ軽し 誰向湖辺閑弄水。　　　　誰か湖辺に向かい　閑に水を弄す 棹歌一曲送春声。　　　　棹歌　一曲　春声を送る 　　　　　春夕偶得 香風吹水濯簾旌。　　　　香風水を吹き　簾旌に濯ぐ 一味春寒向晩生。　　　　一味の春寒　晩に向かい生 起傍虚檐読周易。　　　　起って虚檐に傍して　周易読む 　　　　　送春詞 離恨多於別美人。　　　　離恨　美人に別るる於りも多し 一杯臨水送徂春。　　　　一杯　水に臨むで　徂春を送れば 香魂不返花飛盡。　　　　香魂　返らず　花飛盡す 杜宇青山両似塵。　　　　杜宇　青山　両ながら　塵に似たる 　　　　　夏昼 幽窓眠覚渇呼茶。　　　　幽窓　眠覚めて　渇の茶を呼ぶ 日転空廊梧影斜。　　　　日　空廊に転じて　梧影斜なり 午倦蘇来猶懶起。　　　　午倦　蘇来て猶　起に懶し 臥看小蝶上葵花。　　　　臥て看る　小蝶の葵花に上たるを 　　　　　春日雑詩 桃嬌李艶柳伸芽。　　　　桃嬌李艶　柳　芽を伸ばす 恰及風光似画時。　　　　恰も及ぶ　風光　画に似たる時 鶯也能歌吾愧汝。　　　　鶯也た能ｋ歌い　吾　汝に愧ず 春来未有一篇詩。　　　　春来　未だ有らず　一篇の詩 　　　　　　還家戯作 売盡図画典盡衣。　　　　図画を売盡し衣を典盡す 調花弄月夢全非。　　　　花を調べ月を弄し　夢全く非なり 吾曹今日飄零甚。　　　　吾曹　今日　飄零甚し 髣髴唐人落第帰。　　　　髣髴たり　唐人の落第して帰るに