文選

由来、漢詩創作で是非とも熟読しておかなければ成らない必須貴重な書物が三冊ある。詩経と楚辞と文選。此の三冊は詩学上の【三大宝典】とされている。

五言の古詩を学ぶには『文選』を読むのが一番の書だと言はれてきた。何故か。文選には漢魏以来の詩賦の源流を尋ねるべき詩が皆な収録されている。自然に規矩規縄が備わっている所以である

・杜甫を始めとする後生の詩人たちは、李善の注釈を通じて『文選』以前の歴史、人物や自然、思想さらに感情を表現した言葉に遡り『文選』所収の詩人たちが如何に それを使って文学言語を創作したか、自己の独自の文学言語の創作に生かされたかを知る。

『文選』を自家薬籠中のものとしていた杜甫をはじめとする唐代以後の詩人達にとって、文学言語の継承過程を明らかにしている李善注「文選」は自からの文学言語の創作を考える上で極めて有益である。

杜甫は『文選』のには精通するようにと自分の子供にも教えているし、又、宋代の諺にも『文選爛にして秀才半なり』と言う。わが国でも此の書は盛んに流行された。

清少納言に「文は文集。文選、はかせの申文」と並列されている。当時は詩文と言えば、白氏文集と文選と博士の上申の文章

文選は梁の武帝の長子・昭明太子・蕭統の編纂したものである。 此の詩を
【選体】と言っている。
即ち、選体から入手すれば、田舎くさい、村野の気習を避けることができる。とされている。

尤も歴史的の経緯から言語学と漢詩創作の立場から考察するには異論があるのは当然である。漢詩創作者と言語学専門学者の接点を見る思いがする。


現存する最古の詩文選集は周から梁で約千年間にわたる代表的文人の詩文の選集とされている。百三十余人の作品、約八百編を詩・賦・辞・論・書に更に詩と賦についてはテーマ別に分類した上で時代別に配列している。

【文選】に書かれている文字は大凡、六八〇〇字。杜甫の詩と【文選】との使用文字: 杜甫に用いらた文字、おおよそ、四一二〇字。杜甫に与えてた影響が伺いしれる。李白が三四三〇字。に対してはるかに凌ぐ。索引書が常備され研鑽に不足はしない。

   石 九鼎  09/02/15