★★ 王 維 ★★


          九月九日憶山東兄弟
       在異郷為異客  り異郷に在りて異客と為る
      毎逢佳節倍思親。   佳節に逢う毎に倍ゝ親を思う
      遥知兄弟登高處。   遥かに知る兄弟 高きに登る處
      遍挿茱萸少
一人   遍ねく茱萸を挿んで一人を少くを

      自分はたった一人で他郷で旅暮らしをしています。
      佳節の日になると一層両親のことが忍ばれます。
      今日の佳節に兄弟達が高みに登って茱萸を挿しさす時候
      一人少ない私の事を思ってくれてるでしょう,私も佳節には思い出されす

          戯題磐石     戯れに磐石に題す
       可憐盤石臨泉水。   可憐の盤石泉水に臨み
       復有垂楊払酒杯。   復 垂楊の 酒杯を払う有り
       若道春風不解意。   若し春風 意を解せずと道はば
       何因吹送落花来。   何に因って落花を吹送し来る

      輿盧員外象過崔士興宗林亭     盧員外象と,崔士興宗が林亭に過ぐる
       緑樹重陰蓋四隣。   緑樹重陰 四隣を蓋う
       青苔日厚自無塵。   青苔日に厚うして自から塵無し
       科頭箕踞長松下。   科頭にして箕踞す長松の下
       白眼看他世上人。   白眼看他世上の人

       送元ニ使安西     元ニが安西に使いするを送る 
       渭城朝雨?軽塵。   渭城の朝雨 軽塵を?し
       客舎青青柳色新。   客舎青青として柳色新たなり
       勧君更尽一杯酒。   勧君に勧む更に 一杯の酒を尽くせ
       西出陽関無古人。   西のかた陽関を出づれば古人無からん