| 歴代中国女子詩選 巻九 七言絶句 ２ 春思 張 窈窕（唐） 門前桃柳爛春輝 門前の桃柳春輝に爛かなり 閉妾深閨繍舞衣 妾が深閨を閉じる繍舞の衣 雨燕不知腸欲断 雨燕知らず腸 断えんと欲っす 銜泥故故傍人飛 銜泥 故故人に傍うて飛ぶ 懐良人 葛 亜児（唐） 彩鳳揺揺下翠微 彩鳳揺揺 翠微を下る 煙花漠獏偏芳枝 煙花漠獏 偏えに芳枝 玉京仙会何人見 玉京 仙会 何人が見る 惟有春風仔細知 惟だ春風の仔細に知る有り 寄外征衣 陳 玉蘭（唐） 夫戌辺関妾在呉 夫は辺関に戌し妾は呉に在り 西風吹妾妾憂夫 西風妾を吹いて妾は夫を憂う 一行書寄千行涙 一行の書千行の涙を寄せる 寒到君辺衣到無 寒は君辺に到り衣到るなし 獨夜詞 崔 公達（唐） 晴天霜落寒風急 晴天霜落ちて寒風急なり 綿帳羅幃更羞入 綿帳羅幃 更に羞じ入る 秦筝不復続断弦 秦筝復た続けて弦を断ぜず 廻身掩涙挑灯立 身を廻らせ涙を掩げ灯を挑げて立つ 早梅 劉 元載 南枝向煖北枝寒 南枝煖に向かい北枝は寒し 一種春風有両般 一種の春風 両般あり 憑仗高楼莫吹笛 仗に憑る高楼 吹笛を吹くこと莫れ 大家留取倚欄干 大家 留取し欄干に倚る 古怨 姚 月華（唐） 與君形影分呉越 君と形影し呉越に分れる 玉枕経年対離別 玉枕年を経て離別に対す 登楼北望煙雨深 登楼北望 煙雨深かし 回身哭向寥天月 身を回らせ哭して寥天に向う月 叙別 崔 萱（唐） 碧池漾漾春水緑 碧池 漾漾 春水緑なり 中有佳禽暮棲宿 中に佳禽の暮に棲宿あり 願持此意永相貽 願わくば此意を持し永く相い貽らん 惟慮君情中反復 惟だ君が情 反復に中るを慮んばかる 静室歌 戚 逍遥（唐） 笑看滄海欲成塵 笑て看る滄海の塵と成らんと欲するを 王母花前別衆君 王母 花前に衆君と別る 千載却帰天上去 千載却って天上に帰り去れば 一心珍重世間人 一心珍重す世間の人 哀憤詩 李 弄玉（唐） 昔逐良人西入関 昔 良人を逐て西のかた関に入る 良人身歿妾空環 良人 身は歿し妾 空しく環る 謝娘衛女不相見 謝す娘が衛女 相い見ず 為雨為雲帰旧山 雨と為 雲と為り 旧山に帰る 名月堂 劉 氏婦（唐） 蝉鬢驚秋華髪新 蝉鬢 秋に驚く華髪の新なるを 可憐紅隙尽埃塵 可憐なり紅隙 塵の尽埃を 西山一夢何年覚 西山一夢 何年か覚える 名月堂前不見人 名月に堂前 人を見ず 迷香洞 史 鳳（唐） 洞口飛瓊佩羽霓 洞口 瓊を飛ばし羽霓を佩す 香風飄払使人迷 香風 飄払 人をして迷はしむ 自従邂逅芙蓉帳 自ら邂逅より芙蓉の帳 不数桃花流水渓 桃花 流水の渓を数えず 答王軒 苧 羅川女（唐） 高花巌外暁相憐 高花巌外 暁に相い憐れむ 幽鳥語中啼不歇 幽鳥語中 啼いて歇まず 紅雲飛過大江西 紅雲 飛び過ぐる大江の西 従此人間怨風月 此れより人間 風月を怨む 燕子楼感事 関 盻盻（唐） 楼上残灯伴暁霜 楼上の残灯 暁霜を伴う 獨眠人起合歓牀 獨眠 人は起きる合歓の牀 相思一夜情多少 相思一夜 情多少 地角天涯未是長 地角天涯 未だ是れ長からず 贈趙生 歩 非煙（唐） 相思只恨難相見 相思 只だ恨む相見ること難しを 相見還愁却別君 相見て還た愁い却って君と別れ 願得化為松上鶴 願わくは松上の鶴と為り化するを得て 一双飛去入行雲 一双飛び去り入りて行雲ならん 歌送酒 鮑 四弦（唐）15 風[風 占]荷珠雖暫圓 風[風 占]荷珠 暫らく圓かなりと雖ども 多情信有短因縁 多情 信は因縁を短する有り 西楼今夜三更月 西楼 今夜 三更の月 還照離人泣断弦 還た離人を照らして断弦に泣く 金縷詞 杜 秋娘（唐） 勧君莫惜金縷衣 君に勧む惜金縷の衣を惜しむ莫れ 勧君須惜少年時 君に勧む須からく少年の時を惜しむべし 花開堪折直須折 花開いて折に堪る 直きに須らく折るべし 莫待無花空折枝 待に花なく空しく枝を折る莫れ 賊平後上高相公 薛 涛（唐） 驚看天地白荒荒 驚き看る天地 白荒荒たるを 瞥見青山旧夕陽 瞥見す青山の旧夕陽 始信大威能映照 始めて信ず大威 能く照らすを 由来日月借生光 由来日月 借 光を生ず リンクは自由です。無断で複製・転載することを禁じます 石九鼎の漢詩館 thhp://www.ccv.ne.jp/home/tohou/rek11.htm |