両 韻 便 覧

                       両 韻 便 覧

両韻は作詩する時、その漢字が1つ・2つ・3つ亦4つの韻に所属するもの。
韻をふむ時。平仄を識別する時。問題にされる。常用する漢字の両韻を示す。
○印は平声韻で●印は仄声で表わした。同じ漢字でも使用する時、平声と仄声に注意。
両韻の教書としては『詩韻含英異同辨』が尤も普及し漢詩人必携の書とされている。

一東 ・○・なか。 ・○・こめる。 ・○・にじ。 ・○・くらいさま。
   ●・あたる。 ●・竹かご。   ●・にじ。      ●・ゆめ
二冬 ・○・かさなる。・○・したがう。・○・そなえる。・○ 両用 ・○・たて。        
  ●・おもい。    ●・侍従など。  ●・供給。     ●・       ●・ほしいまま。
三江 ・○・くだる・降伏。・○・冬韻同じ         
  ●・おりる・升降。
四支 ・○・なす。つくる。・○・ふく。      ・○・おそし。・○・おもう。    ・○・のこす。忘れる。        
  ●・ため。       ●・鼓吹ふきもの。  ●・まつ。    ●・おもい。かなしみ。 ●・おくる。
・○・のる。・○・おさむ。    ・○・高麗。   ・○・両用。 ・○・両用
  ●・名詞。  ●・おさまったこと。  ●・うるはし。   ●・       ●・
五微 ・○・茂る。芳菲。 ・○・きざし。ちかし。・○・ころも。
  ●・うすし。菲才。   ●・いく。いくばく。   ●・きる。
六魚 ・○・われ。疏・○・。まばら。 ・○・両用。・○・容与。仄用も可。
  ●・あたう。  ●・章疏。注疏。   ●・      ●・と。ために。
七虞 ・○・両用。鋪・舗・○・しく。
  ●・       ●・みせ。
八斉 ・○・つま。   ・○・むすぶ。両用。・○・かんがう。・○・どろ。
  ●・めあはす。   ●・むすぶ。      ●・稽首。    ●・なずむ。拘泥。
九佳 ・○・しば。
  ●・鹿柴。とりで。
十灰 ・○・両用。 培・○・つちかう。
  ●・       ●・おか。
十一真 ・○・ふるう。両用。
  ●・ふるう。
十二文 ・○・さかんなり。あかしは刪韻。・○・きく。  ・○・わかる。わかつ。
  ●・雷の声。              ●・きこえ。   ●・ブン。身分。本分。
十三元 ・○・論ず、動詞。淡論は平がよい。
  ●・名詞、斉物論。
十四寒 ・○・かわく。   ・○・ひろし。仄用も可。・○・なやむ。かたし。 ・○・はじく。・○・かんむり。
  ○・ケンは先韻。   ●・みだりに。      ●・名詞。多難。国難。  ●・たま。   ●・カンたり。
十五刪 ・○・あいだ。 ・○・うれい。両用。
  ●・まじあう。   ●・うれい。
一先 ・○・さき。  ・○・国名。 ・○・みがく。する。・○・あざやか。・○・ゼン。座禅。
  ●・さきだつ。  ●・つばめ。  ●・すずり。      ●・すくなし。   ●・ゆずる。
便・○・やすり。安便。      ・○・つたう。    ・○・のど。
  ●・たより。便利。すなわち。  ●・伝記。史伝。    ●・むせぶ。
二蕭 ・○・かかげる。調・○・ととのう、動詞。   ・○・もとむ。約する。   ・○・はかる。
  ●・いどむ。    ●・しらべ、名詞。声調。  ●・かなめ。必要。重要。  ●・材料。詩料。
三肴 ・○・せしむ。
  ●・おしえる。
四豪 ・○・とる。     ・○・よぶ。さけぶ。 ・○・つかれる。
  ●・みさお。節操。  ●・名号。号する。   ●・ねぎらう。
五歌 ・○・やわらぐ。平和 。 ・○・はす。   ・○・すぐ。  ・○・みがく。 ・○・なんぞ。
  ●・調和する。唱和。  ●・に。になう。  ●・あやまつ。  ●・うす。      ●・いかん。
六麻 ・○・はな。  ・○たがう。
  ●・山名。
七陽 ・○・ながし。      ・○をさむる。 ・○・あい。    ・○・つよし。 ・○・つら。行列。
  ●・生長。市長。家長。  ●・くら。     ●・首相。看相。  ●・つとむ。   ●・おこない。
・○・はかる。    ・○滄浪。浪浪。 ・○・かたはら。 ・○・ひきいる。まさに。
  ●・はかり。分量。   ●・なみ。      ●・そう。動詞。   ●・名詞。大将。
八庚 ・○・ふける。あらたまる。・○・よこ。     ・○・ゆく。   ・○・もる。   ・○・正月。新正。
  ●・さらに。          ●・ほしいままに。  ●・おこない。  ●・さかんなり。 ●・正しい。正直。
九青 ・○・ひのと。壮丁。 ・○両用。 ・○・おおう。屏風。 
  ○・丁丁は庚韻。    ●・      ●・しりぞく。屏酒。
十蒸 ・○・まさに・・・べし。・○たう。      ・○・おこる。おく。   称・○・はかる。ほめる。
  ●・こたえる。      ●・かつ。すぐる。  ●・おもしろみ。興味。   ●・かなう。
十一尤 ・○いなや。        ・○・特にえらい人。 ・○・うたう。
  ●・ズ、打消助動詞。    ●・おきな。        ●・はく。
十二侵 ・○・しずむ。   任・○・たう。       ・○・たふ。 ・○・しずむ。
  ●・しん。人名。   ●・任ずる。任務。    ●・禁止。    ●・
十三覃 ・○・たのしむ。   ・○・みつ。     ・○・になう。  ・○・さぐる。
 十二侵韻を参考。    ●・みたびする。    ●・になう。    ●・仄用も可。
十四塩 ・○・うらなう。 ・○・ひたす。漸漸。
  ●・しめる。     ●・ようやく。
十五咸 ・○・両用。  ・○・両用。
  ●・両用。     ●・両用。