清明上河図>10>

             清明上河図  10
               独断・清明上河図を旅する
 

手前の船の屋根で、下がってくる方をを指さしながら、何やら叫んでいる。きっとぶっからないように、自分たちの船と下ってくる船との間合いをとっているのだろう。臨場感溢れるる場面が続く河にはアーチ型の橋が架かっている。この画巻のハイライトと言える 『虹橋』の画面。

※ 橋幅は約10m、水面からの高さ5m、橋の長さ約20m前後、7本の梁をアーチ状に架け渡し、それを横に十数列並べ、5本の横材には、三本の梁が接する。一本の梁の中央に横材を載せ、同時に前後二本の梁の先端がその横材を上から押さえつけることで固定される構造に成っている。

普通なら、支柱のない長い橋を造るには、上からの荷重に対処するかを、先ず考えるだろう。しかし、この虹橋は、上からの荷重があってこそ全体が安定する。当時の人の大胆な創造力なくしては実現しなかった橋なのである。 「『清明上河図』都市建築考。高村雅彦。」 ※

第2幕とも言える橋を中心として運河と船と船着き場の光景が始る。この『清明上河図』は、運河と、その中心に位置する橋そし酒楼を一方の中心とし、他方には道路とその中心に位置する楼門そして左脇の酒楼を中心とした北宋の国都開封の都市風景。張択瑞の心意気が感じられる。


                   
          



木造の橋で、その下をくぐり終えたばかりの貨客船と思える船が、流れに対し横になってしまい、方向の建て直しに水夫たちが、懸命になっている様子が窺える。急いで帆柱の立て直しをしている。

船首では四人の水夫が竿を川底に突き刺し、船尾からは竿を手にした一人の水夫が、船縁の歩廊を足早に船尾へと向かっている。船尾の屋根の上では、橋の上から投げられて輪を描いて落ちてくるロープを掴み取ろうとしている者、橋の裏に竿を突っ張り角度を直そうとしている者、上流から、これから橋の下をくぐろうとする船に合図を送る者など、その場の喧騒が聞こえてくるようだ。

運河をよく観察してみる。行く船の向きを見ると、右側通行になっているような感じもする。下る船は左に描かれ、上って行く船は右となっているのだろうか?。みんなが指を差して叫んでいる。

「竿が反対だ!」「竿が反対だ!」舵は完全に背中で切っている。ならば竿と方向が逆だとなる。橋の下の者がロープをゆるめている、帆柱を上げたら上流へ進めない、だから帆柱を倒している。と見るのが妥当だろう。舵の動きが疑問に残る。


         

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