清明上河図>16
                 清明上河図・16
                  独断・清明上河図を旅す

孟元老は『東京夢華録』で言う。総て都の酒店はみな表門に色絹でよそおい立てたアーチを飾りつけている。ただ任店だけは、門を入ると、まっすぐ主廊が百歩余り続き、南北に中庭があり、両側の棟はみな小部屋になっている。夕方になると、燈火が煌々と輝き上下に輝き映え、盛装を凝らした妓女数百人が、主廊の縁側に集る、酒客のお座敷を待つさまは、まるで天女のようだ。

都の東華門外の景明坊に攀楼という酒楼があり、攀楼は豊樂楼の異名で、楼上には御座所があり、神宗が寵愛した李師師と此処で時折り酒を飲み交わした。市民は遠慮して此処には登楼しなかったと言う。

小さな酒店でも、揚げた魚と鴨。炒めた鶏肉と兔肉。揚げたり蒸し焼きにした羊肉・梅汁・血羹。などの下酒を売る、一品十五銭足らずである。小部屋には吊り窓と花竹の植え込み、それぞれ簾とカーテンを垂らし、芸妓を呼んで騒ぎ遊興する。

虹橋から大きく上方へと続くと、曲がった左手の川岸に瓦屋根引きの店が川に沿って続いている。虹橋のたもとの酒楼から道路にはみ出した屋台、幾棟かの瓦屋根の集落がある。


                    

時を過ごす四人の男達が所在無く通行人を眺めている。何か知らず虚無感さえ感じる中、道路を進むと右側道路沿いに面白いものを見つけた。車輪屋である。店先で一人は材木を削る、もう一人は、出来上がった車輪だろうか、底側を木槌で打ち付けて直している。

傍には輪の部分品。組み立て用の、ノミ、カンナ、金槌、ノコギリ類、道具類が無造作に地面に散乱している。チョットこのオッサン達と話し掛けてみたい、錯覚に落ちる。

                   


参考資料:東京無華録。宋代の都市と生活。
    孟元老 著。
入矢義高・梅原郁 訳注




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