清明上河図>9
           清明上河図 ・9
           独断・清明上河図を旅する


(1)大きな舵をもった船の舳先は尖らずに、、平らな形になっている。ここ運河は外洋と違って大 波を切る必要がない、流れに乗ればいいというだけの機能をもった運河専用の船であることが、この舳先で想像される。

※河川や運河を航行する船は、「漕船」と呼ばれ、「浅底船」や「平底船」であり、積載量から、「三百料船」 「五百料船」などの区別があった。ベン河の水深が「六尺」 「八尺五寸」が全てである。この「料」に関して、現在の中国の学者は「一石一料」と簡単に片付けているが・・・・

又、旅客を運ぶ「客船」があり、それも、「浅底屋小舟」や「座船」がある。さらに貨客船らしい「雑般座船」もある。  舵は”図学”では平衡舵としている、(2)の左側、舵葉の大きくて重い後半部は鎖や索で上方に吊る。 (清明上河図の船を作る。山形欽哉著) 

(2)河船が上流に遡るには岸から人力で引く。船の中央に取り付けられた一本の帆柱の上の方に長いロープが結ばれ、その3,40メートルはあろうかと思はれるロープの先の方を持った五人の男達、船曳き人夫が岸辺を歩いている。人力で上流えと曳き運んでいる。



                 


ロープに尽いては”百丈”と思われる。『入蜀記』陸放翁の日記。趙注に「百丈は牽く「ベツ」。内地のこれを「タン」と言う。”百丈”⇒曳き船のためのロープ状の綱。太い竹を四つに割り、編んで網としたもので、船の中に収められている。平素は滑車に巻きつけている。
                     

                   
              


       陸遊の詩     滄灘 (二)
百夫正讙助鳴櫓。    百夫 正に讙(かまびす) 助鳴の櫓
舟中対面不得語。    舟中 面に対して 語るを得ず
須臾人散寂無譁。    須臾にして 人散じ 寂として譁無く
惟聞百丈転両車。    惟だ百丈の両車を転ずるを聞くのみ
嘔嘔唖唖車転急。    嘔嘔 唖唖 車の転ずること急なり
      ・・・・・・・・・・                ・・・・・・・
     船曳き人夫の喘ぐ息ずかいが聞こえる。