中国歴史紀行  (114)      鸛鵲楼


中国四大名楼≪鸛鵲楼≫「鸛雀楼とも言う。」は山西省の黄河岸東側、東1kmに「鉄牛」で有名な蒲津渡遺跡。西3kmに≪西廂記≫の故事発生地≪普救寺≫依りにあった。

由来、鸛鵲楼は山西省の蒲州城北、三層の楼。黄河に突き出した丘にあった。前に中条山を望み、下は俯して黄河に臨み、楼は後に河水に押し流され没したと言う。風景絶景の地であり、多くの詩人が此処で詩を留めた。

鸛鵲楼は、黄河の中洲にありコウノトリが巣つくったことから、この名が付けられたと言う。のちに水流が変って水中に没したので城壁に移されたとも伝える。

蒲津の黄河側に七層の楼が悠然と眼前に現われた。紛れもなく鸛鵲楼だった。何代目の楼閣だろうか知る由もない。改築中らしく門は締まったままだった。

王之渙(唐代の詩人)は「鸛鵲楼に登る」と題し千古に名を残す有名な詩を書く。全対格。起句と承句の見事な対句。転句と結句の流れるような対句。流水格。こんな佳句に出会うと、我々漢詩人は手も足も出ない。因みに頼山陽が九州耶馬溪の絶景に出会い「筆を擲つ名跡」がある。正に「筆を棄てたくなる」心境。

白日依山尽。 白日山に依って尽き。
黄河入海流。 黄河海に入って流れる。
欲窮千里目。 千里の目を窮めんと欲し。
更上一層楼。 更に上る一層楼。

”千里の目を窮めんと欲し 更に上る一層の楼。”誰でも知る鸛鵲楼に登るの一詩、転句と結句。流水対格は古来、人生の道程の励みとしてよく書かれる。


     



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