中国歴史紀行>14>鳴沙山


    敦 煌  鳴沙山

敦煌市の市街南方6kmにある鳴沙山は、もと神沙山。沙角山と言う。                米粒ほどの沙が積もって出来たものであると言う。鳴沙山は黄金に輝き、緞子のように柔らかく、東西約40km、南北20km、高さ250m。峰は高低起伏し、刀で削りとり、切り立つた様に険しい遠くから眺望すると非常に壮観で見るものを圧倒する。

砂檪が推積してできた砂山で、強風に舞う砂の音が管弦や太鼓のように響くと言う。遊覧客は沙山に登るのを好む、麓まで駱駝に乗るのが楽だ、ラクダの数、約百頭余り、往復一人30元。片道もあり観光客のため便宜を図ってくれるのが嬉しい。

早速、駱駝に乗る順番待ち。準備OK。乗ったまでは好いが、この駱駝、頗る機嫌が悪い。   『グワーッ。グワーッ』と首を上に下に振りまくる。この駱駝、体格が一等大きい。曳き手の親爺、業を煮やし曳き綱で顔と言わず首まで、ぶん殴る。一週間前買ったデジカメを落とすまいと必死に片手で握りしめる。駱駝に乗っている観光客、キャッキャッと笑い転げている。

解かった!夕べ敦煌市内で駱駝の瘤を食いに行ったのを思い出した。無理も無い。『背中に乗せてる変な奴。俺と同類の臭いをプンプンさせる。』と思ったんだろう。 歩くと約20分で麓まで辿り着く。山頂に登るのは容易ではない、一歩進めば半歩退く、麓から山頂まで縄梯子状の設備が3箇所ある。料金一人15元、この砂漠地帯は昼夜の温度差が激しい。


         
          
                             
                               
日中は砂が熱くてとても登れない、然し夕日のなか金色に輝く姿は、昼間とは別世界のような幻想的な美しさ、日本のような風紋は無い。米粒ほどの沙で、日本の沙のとは違うようだ。     『史書』には”天気が晴れた時は、糸竹管弦の音が聞こえ、まるで音楽を演奏しているようだ”と伝える『沙嶺晴鳴』として有名。これから”鳴沙山”または”神沙山”と呼ぶと言う。

この沙が鳴る所は”敦煌八景”の一つとなっている。鳴沙山は西南からの強風が谷を走り抜け砂を頂上に吹き上げても北からの風で降下し、その姿は二千年來、変化しないと言う。ミネラルウォーターを飲み乾し、沙場の砂を容器に入れ記念に持ちかえる用意をする。

夜九時、まだ明るい、現地と北京とは3時間差が有ると言う。しばらく天空の満月を待つ。今夜は15夜。稜線に月が現れる、正に幻想の世界。一刻もすると正に”釣瓶落し”沙場”は”まっ暗ら”満天に星空とは言っても懐中電灯を持参すべし。持ち帰った沙場の砂はワイングラスに入れ旅の思い出を懐かしむ。
この砂は姿、形、色が、さながら 「炒り胡麻の」 ように感じられる不思議な沙でもある。

2000/8/14 




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