中国歴史紀行   (33)
          楽山 大仏

成都ー楽山 (成楽高速路)99年に建設。・132`。タクシー300元。マイクロバス65元。約2時間。成楽高速道路の中央分離帯には海棠の花が蜿蜒・何十キロと咲き乱れる。まさに百花繚乱。幼木もあり、成樹もある。楊貴妃を例えた「天宝の海棠」。海棠睡未足(美人が目覚めたばかりで、まだ眠りが足らず、なよなよとよわよわしく見えることを称し)植樹したものと理解。

棉竹収費站で一般道路へ岷江大橋(有料)を渡る。岷江は下流の長江へと注ぐ、岷江は長江かと間違えるほど形式が似ている停泊中の船団、河の濁流の色、岸辺の居住者のたたずまい。涛とうと流れる悠久の時間。

楽山は四川省南西に位置し、省都成都市から160`離れた所にある。楽山大仏はユネスコ世界遺産にも指定された中国最大の石刻坐佛。世界屈指の大きさの摩崖大仏は「峨眉山天下秀、楽山天下奇」と呼ばれる景勝地。

1991年、楽山の大仏と峨眉山は共に「中国観光名所ベスト40」に選ばれ観光客(華僑、本地人、欧州、米国、他)で賑あう。楽山大仏は楽山市の岷江・青衣江・大渡河の合流点にある。凌雲山の棲鸞峰の絶壁に彫られた弥勒坐像で、凌雲大仏とも言う。

                    


急流によって船の事故にあう人を慰める目的で、唐代の713年に僧の海通和尚の提唱で彫まれたこの弥勒坐像は、高さ71b。頭の高さ14,7b。頭の幅10b。肩幅24b。目の長さ3,3b。耳の長さ7b。耳の中には2人立ち、足の甲には100人余りが坐ることが出来るほど大きい。完成には90年間かかったと伝える。1000年の間、この世の移り変わりを見守ってきている。

右側の凌雲崖に曲がりくねった棧道があり、河岸に下りることができる。俗に「山は佛、佛は山」と言い悠々堂々としており、気迫がみなぎる。参觀した当日はアイニクの雨天。それでも人山人海。仏像は緑に覆われてた凌雲山と、涛々たる岷江とを映リ合って、楽山のシンボルとなっている。

最近、岷江上流の開発地域(パルプ工場など)の汚染が問題になってきた。楽山大仏の腐食・汚染で以前の風雪を感じる形容と異なっていた。正に塑像と間違う顔の表情は日本では考えられない。宋代の文士、蘇東坡は此を訪れて

 生まれて万戸の候に封じられることを願はず
 韓の荊州と知り合うことも願はない
 生まれてただ、漢嘉の守りになりたく、
 酒を載せて時々凌雲に遊びを作すを。
の句を残す。岩壁に「蘇東坡載酒時遊処」の石刻があり、今なお判読ができる。



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