中国歴史紀行   (36)
             石刻山 大足

大足は四川盆地東南部にある。成都から360キロメートル。重慶から120キロメートルの所にあり甲級旅遊開放県(第一級旅遊地域)に指定されている。佛教徒は言う。北に敦煌あり、南に大足あり。

今回は成都から成喩高速道路・マイクロバス。150元。所要時間片道四時間。ブッ飛ばした感じ。両側4車線の完全舗装。中央分離帯にはカンナの花で心を慰めてくれる。途中2ケ所サービスエリアが有る。青島ビールが一缶6元、ホテルでは一缶20元。ホテル到着用にと数缶買い込む。

12,30分。「大足笑向」というエリアから「大郵路」大足30`の表示板。大足賓館に到着。30分休憩(昼食)。ホテルロビー売店で「大足県城導遊図」購入2元。後「宝頂山」に向け出発。曲がりくねった農道を約30分走り宝頂山駐車場に到着。徒歩20分、宝頂山入門。入場料50元。

                     

    千手観音像
                         

                       護法神像

佛教徒が参詣に訪れ、「上りて峨眉山に朝し、下りて宝頂山に朝す」と言われるほど仏像の石刻が多く、風景が良い。辺鄙な場所が幸いし、文革の被害も最少に留めている。ましてや、人里離れ世塵に冒されていない。石刻は13ケ所にあり、大小一万余りの造像がある。大佛湾と小佛湾が最も規模が大きい。大仏湾は馬蹄形の形式をなし、長さ約500m、巌の高さ30p。東・南・北の三面に彫られている。大型の石像は30余り。

この中で、六道輪回・広大宝楼閣・華厳三聖像・千手観音像・釈迦涅槃聖跡図・九竜浴太子・孔雀明王経変・父母恩重経変像・大方便佛報恩経変図・觀無料寿佛経変図・六耗図・地獄変図・柳本尊行化図・十大明王像・圓覚洞・牧牛道場などが有名。

保存状態がよく、宋代のものに最も特色が有ると伝える。最初に彫ったのは唐代の柳本尊の密教の衣鉢を継いだ宋代の名僧趙智鳳で、南宋の淳煕6年(1179)のこと、それ以来70年余りを費やして完成した。これらの石刻は芸術的価値が高く、日本からも研究者の団体が来て研究に余念がないと言う。

※千手観音像。宝頂山の大佛湾の南崖東段(山門を入って右側)にある。面積が88uの岩壁に彫る。孔雀が翼をひろげたような壮麗&華麗な構図。正に目を奪わんばかり金色燦然と輝く。神業というにふさわしく、誰も賛辞を惜しまない。蓮臺に結跏趺坐し、宝冠をかぶり、壮厳な顔つきで合掌をしている。岩壁に1千本余りの手が彫られ、それぞれの手に法物を持つ、

※護法神像。法神を護る像、石像は凛然として慎み深く穏かな表情で、或る者は蛇の頭を捧げている。道場の規律を厳守することを警示し、違法者には厳しく懲罰を受けるという図を意を表す。下には兔・羊・猪・犬・猴・牛など動物十二支の干支が法神を昼夜、道場を守護している図。

        

         釈迦涅槃聖跡              

                      
                    釈迦涅槃聖像の右上

釈迦涅槃聖像。頭部は北に脚を南に向け、顔面は西に背は東に向ける。彗眼かすかに閉じ、表情は静かで落ち着きがある。長さは31メートル。右側に臥し、下半身は岩際に隠れる。右肩は地表の下に陥る。此の表現を「思いは筆には到らず」と言う。(大足石刻・重慶出版社)

釈迦涅槃像の前には釈迦入没を悲しで弟子たちが地上に半身湧き入出る。中央に背を見せるのは、皇帝の姿と言う。石刻右上に九人の立像が現われ、中央が釈迦の母親、左に釈迦のご内儀 中央の右隣には釈迦の祖母。釈迦の入没を天上から降りて表す。この石刻は大足の見どころの一つとなっている。

父母恩重経変像。今回の参觀で一番印象に残る石刻。全龕三層に分かれ、上層には七佛を彫る。下層は地獄図。中層は序列に物語を彫る。佛前に子を求める石刻。妊娠見守るの石刻。分娩まえの苦しみの石刻。子を産み愁いを忘れる図。衣服の濡れらのを責任逃れする。哺乳を尽くさずのず図。洗濯をせず清潔でない図。罪あたりなことをする。遠出することをばかり思う。

これら十一図像。父母が子供を養育すること、立派な徳をたたえ広く知らせることを石刻で示した図がある、以前 ケ小平がこの地に参觀し教育上の得業であり学校教育に取り入れるべきだと指示したと言う。山門内の売店で書籍を買う。

「大足石刻」重慶大足芸術博物館編。重慶出版社。98元。「大足石刻導遊。」巴蜀書社出版発行。20元

参觀を終えて山門を出る。重慶の夏はさすが暑い。人力車が5,6台客待ちをしている。。一人2角信じられない位、安い!、駐車場まで15分乗車する。車曳きの人夫に清まない気がする。同行の彼女、曰く、”数年すると此も観光客に汚染されるのネ!”



参考資料:大足石刻。(重慶大足芸術博物館編。重慶出版社)
2001/08/27


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