石九鼎の中国歴史紀行>4>シーサンパンナ

      中国歴史紀行 4
      西双版納(シーサンパンナ

西双版納(シーサンパンナ)は中国雲南省の南の辺境に位置し・東はラオス・西はミャンマーに隣接する。シーサンパンナとは泰族語で「12の千田」の意味で「千田」は泰族の水田の広さを測る単位であった。後に行政区域を計算する単位に変わり「シーサンパンナ」は「十二の行政区域」と言う意味になる。

然し地元のガイドの説明では、12の少数民族が居住しているので、ここでの地名の由来は「12の少数民族」だと言う。俗に「麻薬産地の三角地帯」で知られている。
以前はシーサンパンナの 交通は不便を極め昆明から悪路を一週間かけて、やっとシーサンパンナに入るのが普通であった。

現在(1999年)では昆明飛行場から西双版納の建城・景洪飛行場まで、45分。但しし夜間フライトで西双版納に到着となった。現地の人の話では、昆明〜西双版納の間には軍事基地が建設されているからだと言う。真偽の程は解からない。なぜなら、帰路の行程は日中に飛行した。建城・景洪は活気に溢れホテル建設でゴッタ返し、ホテル建設の数も『凄い』の一言。将来の観光地としての期待度が解かる。


                    


☆ 橄欖は・メコン川の上流にある、清明節の10日前後・泰族の伝統的な正月で「水かけ祭り」で有名。泰族の正月(太陽暦の4月13日〜15日ころ)2日間に人々は水を持って仏教寺院へ行き、まず仏像に水をかけ、その後、互いに水をかけあう。中国語で「溌水節」と言い、観光客用に常時行われている。

☆ 曼閣佛寺・メコン川の上流の北岸にある。清代創建の小乗佛教の寺院。当地の寺院の中心的な存在。

☆ 曼飛龍塔・曼飛龍村の背後の山にある。大小9つの塔からなり塔身が雪のように白く・尖塔が金色に輝く。地上に頭を出した玉筍のように見えるので”筍塔”とも言う(1203年)に磚と石で築いたと言う。小乗仏教の建造物。塔基は平面八角形、高さ1m余の須弥座で、外側に八ケ所の佛龕がある。それぞれ漢白玉石製の仏像を安置している。

☆ 景真八角亭・建城西方14kmの景真山にある。(1701年)の建立。基壇は磚積みで『亜』 の字形の須弥壇。壁の内外に漆喰を塗り、さまざま色ガラスをはめ込み金紛と銀紛で花・動物・人物の図案を画き、目を奪わんばかり!。華麗の一言。泰族の仏教建築の逸品。一見の価値有り。

此では幼年から少年僧まで多く修行僧がいる。「絶対してはいけない」。注意事項がある。それは可愛さで少年僧の頭を撫でる事。「頭を撫でる事」は僧を侮辱する事に等しい。注意したい。

☆ 熱帯植物園・アジア最大の熱帯植物園・(1985年)開設。面積130ha餘り。貴重な植物、1千本種以上の植物。圧巻は ”ダンスをする樹” 木は約1m足らず10本位。木に向い歌を歌うと,木が
一斉に踊りだす。と言うより、揺れ動き出す、世にも珍しい木たち。地元の人びとは『踊る木』と呼んでいた。

観光途中、と或る少数民族の小さな部落に家庭訪問をする(有料見学)機会を得た。無造作に樹木で設けられた掘っ立ての家、部屋の中にはテレビとベット。食器が少少。この二階には釜戸に残り火がある。今さっきまで食事中だと思われる。敷居の隙間から階下に何か動く者が見えた。
よーく見ると豚が数頭、動いている。人間と動物との一種共同体。トイレを催してきたので女住人に聞く、外の草むらを指差す。女性観光客の一番、悩ます問題。

ここは別世界。別天地。素足の子供達がドヤドヤと周り着く、手に手に自家製のみやげ物らしき物体。丁度今は学校が休暇中と言う。校舎を見学させてもらう。生徒14,5名用の樹木を並べた椅子、机。絵になる!。 しかし、なぜかシャッターを切る気になれない。先ほどの女主人が ”綺麗な普通語”で話し掛けた来た。此処で普通話とはオドロイタ!。手製の金物細工を見せる。2元でブレスレット(?)らしき物を買う。全てが漢民族化する少数民族。自分達の民族習慣も忘れ去るのも時間の問題だろう。

シーサンパンナの旅も終盤、ホテルから景洪飛行場へと車を飛ばす。途中、一面広大な湖に出会う。道路両橋サイド、湖面にプカプカと家の屋根らしき物が浮いている。無いはずの湖水!早速、中国旅行には常備してる 『中国交通営運里程図』を取り出す。地図に無い。運転手に聞くと「数日前の豪雨で、この状態です、瀾滄江の下流に流れるまで時間がかかるでしょう。」と言う。

日本では考えられない自然に対する考え方。日常茶飯事の洪水の対処など。大陸の凄さを感じた。西高東低の大陸。日本の様に、雨は川に流れ海に到る。ではない。悠長な時間の問題。
 日本を経ち昆明〜シーサンパンナに出発直前、中国朋友が私に忠告を与えてくれた。 ”昆明〜シーサパンナ飛行場の待合室で見知らぬ人から、「次の飛行場まで、この手荷物を持って下さい」、と人が話し掛けて来ても、絶対に預からない事。運び屋に利用される可能性がある。手持ち検査で発見されたら文句なし即刻、銃殺刑ですよ。待った無しだから。世界一の麻薬産地に近い三角地帯、それなりの人種が集る場所だから”。

西双版納の旅も終わり、少数民族の細身で長身の美人ガイドが手を振る「バイバイ」。彼女は早速、携帯電話を取り出し友達に電話。新旧混同の世界を垣間見る。
午後1時過ぎ、西双版納の景洪飛行場で、民航機場管理建設費も支払い待合室で今朝の新聞を開いて読む。スッーと右横に人の気配を感じた。男が一人坐り ”昆明行きの登乗券は同じでしょうか” 訛りの無い流暢な普通話。場所が場所だけに一瞬ドキッ!来たナッ!。

眼鏡を掛け痩せた一見紳士風の男・・・・・。要注意! 話してみると男は日本の事情にかなり詳しい。昆明農業関係の大学に勤務と言う。ふうーッ。と思わず溜息だ出た。来年開催される世界花博覧会のホットな話題で一時を過した。
                                                   

                           


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