中国歴史紀行   (46)

  昆明湖・ 龍門

昆明湖
昆明市の西南郊外にある。海抜1886m・南北40km・東西8km・水深平均5.5m・面積297kuの断層陥没湖と言う。盤龍江など大小あわせて20余りの河川が南下してそそぐ。図の右半分、干拓事業で農作地帯が一時計画されたが、取りやめになり、汚染がかなり厳しい。

昆明の位置と地形は海洋季節風の影響を受けやすい。夏は季節風の温湿気流が高原地形の乾燥気流に代わって、雲が多く日照の少ない気象になる。雨量が豊富なため、太陽の輻射熱は大幅に減少する。冬は北方の乾暖気流が徐々に東に流れ、雲が少なく日照の多い気象になる。

南に移動した太陽の輻射熱の減少を補う。夏は涼しく、冬は暖かい気候となる。昆明の気温は最も暑い夏(七月)で摂氏20度前後、最も寒い一月で九度前後。年間の湿度差が一年中15度前後。四季春の如き。昆明が一名 『春城』と言はれ、一年中、花が咲く。

           
              昆明湖

               
               龍門

龍門
西山の羅漢崖の岩壁にある。三清閣から 「別有洞天」の四字を彫った細く狭い道を通り抜け、石段を登って行くと雲海と石林の広がる石室のテラスに至り視界が開ける。さらに南に進むと、劔崖が聳える。岩の間にトンネルが穿ち慈雲洞に出る。

洞内に観音坐像を彫りその門楹・香炉・藻井や各種の装飾はいずれも岩に彫ったものと言う。観音像の傍に道光年間(1821〜1850年)の「重修慈雲洞呉道士功行碑記」があり、道士の呉来清が石室を開鑿した経緯を記し、室外に方形のテラスと石造りの欄干がある。

題詠の刻石も多い。トンネル沿いに石段を登って行くと『龍門』の2字を彫った石坊に至る。なかに達天閣と言う石室がある。閣内には魁星を安置(北斗七星の第1〜4星で、文運をつかさどるといはれている)している。手には升をささげ、筆を持ち、足で甕魚を踏み、精彩に富む。

室外にテラスがあり、欄干から身を乗り出し見下ろすと、百丈の断崖絶壁をなしている。

 「仰笑す 宛も天を離れること尺五なるを、憑臨す 恰も水の中央に在るを」という聯を彫る。清の乾隆46年(1781)から咸豊3年(1853)にかけて開鑿された。

湖水(昆明湖)と空とが一つにとけあい、視界は抜群、煙霞がめまぐるしく変化し、絶景が広がる、まさに雲南第1の景勝の名にはじない。


2006/10/07


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