立 秋 後 題 乾元二載、立春節の翌日華州に在り、官を辞めて秦州の方へ赴かんと志した時に感慨を賦したもの。 日月不相饒。 日月 相饒さず 節序昨夜隔。 節序 昨夜 隔たる 玄蝉無停号。 玄蝉 号ぶことを停むる無きも 秋燕已如客。 秋燕 已に客の如し 平生独往願。 平生 独往の願ひ 惆悵年半百。 惆悵す 年 半白 罷官亦由人。 官を罷むるも 亦 人に由る 何事拘形役。 何事ぞ 形役に拘せられん [節序] 立秋の節をいう。 [玄蝉] ひぐらしの類。 [独往] 世俗を離れ自由に自己の赴くまま。『荘子』(在宥篇)出入六合、遊乎九州、独往獨来、是謂獨有。出て六合に入り九州に遊び独往独来、是れ独有と謂う。 [半百] 五十歳のこと。時に作者(杜甫)は48歳であるが成数をあげていう。 [由人] 他人の爲に辞めさせらしことをいう。 [拘] 拘泥する、 [ 【訳文】 月日は過客の如し、いま立秋になったと思うに、それは早くも昨夜のことと隔ってしまった。茅蜩は鳴き続けているが、燕は旅人のように立ち去る。自分は平生から独自に自由に往来することを願っていた、何時の間にか五十歳近くになったのだ。自分は官を辞めるが先方のご勝手である。自分はとしては何で肉体の爲に心を奴隷化させるような仕事に、へばりついている事があるだろうか。 Copyright(C)1999-2011 by Kansikan AllRightsReserved ie5.5 / homepage builder vol.4"石九鼎の漢詩舘" |