山 寺
秦州にて『瑞応寺』に遊んだときの詩。乾元二年の作。近体詩。

野寺残僧少。    野寺 残僧 少なり
山園細路高。    山園 細路 高し
麝香眠石竹。    麝香 石竹に眠り
鸚鵡啄金桃。    鸚鵡 金桃に啄む
乱水通人過。    乱水 人を通じて過ぎ
懸崖置屋牢。    懸崖 屋を置くこと牢し
上方重閣晩。    上方 重閣の晩
百里見秋毫。    百里 秋毫を見る

詩語解
 [乱石]一作乱水。  [秋]一作繊。
『李白・観放白鷹詩』 八月辺風高、 胡鷹白錦毛、孤飛一片雲、百里見秋毫、

[野寺] 瑞応寺。清一統志に瑞応寺は秦州東南麦積山上にあり、初め、石巌と名ずける、後秦の姚興重修復して名を改める。隋の塔記に尚存す、と言う。
[麝香] 鹿の一種。
[石竹] 植物の名。
[鸚鵡] 「おうむ」。秦州地方に多く産する鳥、と言う。
[啄金桃] 樹上にて啄む、金桃銀桃は桃の種名。
[秋毫] 獣毛は秋に至れば細しの意。

訳文
この郊外の寺には残りの僧も少ない。寺の庭に至るには細い路が高く着いている。庭を見ると麝香は石竹で睡っている。鸚鵡は金桃の上で餌を嘴でつついている。山下の乱流は人が渡って来るだけのゆとりはある。通路の懸崖には堅牢に家屋が設置されてある。山頂の方で二階から日暮れを見渡せば、十里四方はよく見える秋のけすじの細さものさえ、はっきりと見える。


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