西郊 城中を出て西郊より草堂に帰り来たことを述べる。上元元年冬の作詩とされる。上元元年。近体詩。 時出碧鶏坊。 時に 西郊向草堂。 西郊より草堂に向う 市橋官柳細。 市橋 官柳 細に 江路野梅香。 江路 野梅 香し 傍架齋書帙。 架に傍いて 書帙を齋へ 看題検薬嚢。 題を看て 無人覚来往。 人の来往を覚える無し 疎懶意何長。 ○路、 一作岸。 ○検、 一作減。 ○覚、 一作競。叉作與。 [碧鶏坊] 成都の西南にあった百二十坊の中の一坊の名。 [市橋] 成都西南、石牛門にあった。 [?康・與山巨源絶交書] 性復疎懶。 [詩語] [官柳細]官で植えた柳の條(細い)。 [傍架]架は本棚。 [帙]書衣。 [題]表題。 [検]調べる。 [無人覚来往]人の来往を知らない、をいう。(仇兆鰲は「人(跡) 来往 不見」)と説く。 [訳文] 私は時として碧鶏坊から出て西郊を経て草堂へと向かう、途中の道の市橋では柳が細く垂れている。川沿いの路では野梅の花が匂うている。草堂に着けば書架に寄り添うて帙を整理したりする。叉、表題を看ながら薬袋を調べたりする。往きも帰りも誰も気づかない。此の様な生活は無精な気持ちがのんびりとして、叉、良い物である。 Copyright(C)1999-2011 by Kansikan AllRightsReserved ie5.5 / homepage builder vol.4"石九鼎の漢詩舘" |