薄 暮
日の暮れかかった時のことを作詩している。広徳元年秋,?州(ろうしゅう)にての作。杜甫,この年の九月,?州に到る。

江水長流地。    江水 長流の地                   
山雲薄暮時。    山雲 薄暮の時
寒花隠乱草。    寒花 乱草に隠れ
宿鳥探深枝。    宿鳥 深枝を探る
故国見何日。    故国 見る何の日ぞ
高秋心苦悲。    高秋 心 苦だ悲し
人生不再好。    人生 再び好からざる
鬢髪白成糸。    鬢髪 白くして糸を成す

詩語解
[薄暮] 暮れに迫る。暮れ係る時をいう。
[江水] 嘉陵江。
[探] 探る。一作擇。

詩意
江水の長く流れ行く所,山の雲の暮れかかった時,寒そうな哀れに咲いた花は乱れた草の中に隠れている,宿りを求める鳥は奥深い木の枝を探している。古里は何時,見ることが出来るだろうか。空高き秋に当たり私の心は非常に悲しい。人生はもう一度好い時は出来ない。鬢(びん)の毛は白くて糸の様に成ってしまった。

                水墨画; 嘉陵江之圖

                        


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