秋興 八首
大暦元年。杜甫55歳,夔州の西閣に在って,深まりゆく秋の気配に,身の落魄,国家の多難,切ない望郷の念に堪えず,胸に湧き起こる思いを詠じた此の八首の連作は,杜甫の七律で最も有名なもの。
秋興 八首(其一) 秋の時節に逢い旅居を傷むことを述べている。
玉露凋傷楓樹林。    玉露凋傷す楓樹林
巫山巫峡気蕭森。    巫山巫峡 気蕭森
江間波浪兼天湧。    江間の波浪 天を兼ねて湧き
塞上風雲接地陰。    塞上の風雲 地に接して陰る
叢菊両開他日涙。    叢菊両たび開く 他日の涙
孤舟一繋故園心。    孤舟一に繋ぐ 故園の心
寒衣処処催刀尺。    寒衣処処 刀尺を催し
白帝城高急暮砧。    白帝城高うして暮砧急なり

○両, 一作重。
『李密,感秋詩』 玉露凋晩林。
『梁元帝・詩』 巫山巫峡長。
『張協・詩』 荒楚欝蕭森。
『庾信・詩』 秋気風雲髙。
『張協・詩』 軽露棲叢菊。
『陶潜・帰去来辞』 或命巾車,或棹孤舟。
『庾信・詩』 秋砧調急節。


秋興 八首(其二) 夔州の暮景と兼ねて異土の感を述べている。
夔府孤城落日斜。    夔府の孤城 落日斜なり
毎依北斗望京華。    毎に北斗に依りて 京華を望む
聴猿実下三声涙。    猿を聴いて 実に下す三声の涙
奉使虛随八月槎。    使を奉じて虛しく随う八月の槎
画省香炉違伏枕。    画省の香に違いて枕に伏し
山楼粉堞隠悲笳。    山楼の粉堞 隠れて悲笳あり
請看石上藤羅月。    請う看よ 石上 藤羅の月
已映州前廬荻花。    已に映ず 州前廬荻の花

○宋本作南斗,云,一作北,今従詳註本。
○査,詳註本作槎,云,陽慎云,當作査。
『夔府』 唐代夔州に都督府が設けられていた。
[三声涙] 『水経注』此の地方の漁歌[巴東三峡巫峡長,猿鳴三声涙砧裳]
[奉使] 杜甫が工部員外郎に任ぜられたこと。
[八月槎]八月に筏に乗って天の川を訪れたという伝説にふまえる。
[画省] 尚書省。その壁に,古賢列士お画像があった。工部外郎は,尚書省所属であった
[香炉] 尚書省の役人が宿直のとき,女官が香を焚くのが例。
[粉堞] 色を塗った「ひめがき。」
[梁元帝・詩] 西山落日斜。
『詩経・陳風・澤陂』 輾転伏枕。


秋興 八首(其三) 夔州の朝景を述べ且つ自己の感慨を叙している。
千家山郭静朝暉。    千家の山郭 朝暉 静かなり
日々江楼坐翠微。    日々江楼 翠微に坐す
信宿漁人還泛泛。    信宿の漁人は還た泛泛
清秋燕子故飛飛。    清秋の燕子は故らに飛飛
匡衡抗疏功名薄。    匡衡 疏を抗げて功名薄く
劉向伝経心事違。    劉向 経を伝へて心事違う
同学少年多不賤。    同学の少年 多くは賤しからず
五陵衣馬自軽肥。    五陵の衣馬 自から軽肥

○日日,一作百處。
[信宿] 二泊。
[匡衡] 漢の元帝の時の人。たびたび上疏して政を論じ,光祿大夫に任ぜられた。杜甫は房琯を弁護して,かえって嫌われた。
[劉向] 漢の宣帝の時の人。宮廷諸書の整理と校訂を行った。子の歆も,父の志をつぐ。
[五陵] 長安の北,漢帝の五陵がある地。
『謝霊運・詩』 飛飛燕弄声。
『周弘正・詩』 復嗟心事違。
『范雲・詩』 裘馬悉軽肥


秋興 八首(其四)

秋興 八首(其五)

秋興 八首(其六)

秋興 八首(其七)

秋興 八首(其八)









































律詩規約熟知「知不識不知識」」:杜甫:秋興八首,雖作詩能力無能,修士:博士科目賢人輩,始終古人写本。概研鑽熟讀成哉,無品位無論意。合成資料盡力,合成亦合成[04,1010・中國語研究論集会誌。無資格語杜甫。
化石化シーラスカン
        
             
 Copyrightc 1999-2011"(tohouKanshikan)"All rights reserved.
                  IE6 / Homepage Builder vol2