東 方 朔 () 前漢の人.字は曼倩,弁舌・文章に長じ,また,滑稽と奇行によって武帝に愛された.伝説によると仙術をよく した方士で西王母の もも を盗み食って長寿を保ったと言う. ★ 誡子詩 ★ 子を誡むる詩 奇人。奇行。東方朔 武帝は退屈すると、いつも東方朔に話し相手をさせ、そのたびに上機嫌になる。東方朔は時には 陪食にあずかることもしばしば、食事が終ると、食べ残した肉を全部フトコロに入れてもち帰る。 勿論、着物はベトベトになってしまう。また、絹物を頂戴すると、それを無造作に担いで退出する。 帝から賜った銭や絹物がたまると、それで都のうら若い美女を娶る。が、一年もたつと、その女を さっさと捨てて新しい女を迎える。こうして、賜り物は銭も物もことごとく女のためについやす。同僚の侍従たちは、こんな東方朔をなかば気ちがい呼ばわりしていた。 武帝が耳にしてこう言った「朔に仕事をさせれば、なに事も見事にこなすに違いない。君たちには足元にも及ばないのだぞ」東方朔が一人で殿中を歩いているとき、一人の侍従が声をかけた。「やあ、朔さん、あなたは気が触れているんじゃないかと、もっぱらの噂ですよ」 「そうでしょうな、なにしろ私などは ”朝廷の中に隠遁しているものですから”昔の人は、もっぱら山奥に隠遁しましたがね」 酒宴の席でも同様である。酔いがまわると、四つんばいになって歌いだす。 世俗の中に身を沈め 御殿の中に身を隠す 身を隠すには山奥の 草むす庵と限るまい あるとき、学者たちが集った席で、東方朔にこう皮肉を言う者がいた。「先生ほどの豊かな学問見識がありながら、帝にお仕えして数十年、たかだか書記官どまりとは・・」 「乱世にあっては、国の存亡は人材の得失によって決せられる。したがって、高位に迎えられる機会も多い。 だが、現代のように秩序はかたちずくられ、天下の隅々まで安定している、こう言う時代には 賢者も愚者も識別し難いのです。昔の人も”天下に災害なければ、たとい聖人たりとも、才をふるう余地なし”と言っています。だからと言つて修養を怠ってよいと言うことではありません。自分自身が充実していれば、外見上の出世などは問題ではありません。」学者たちは答えるすべも無く、だまりこんでしまった。 Copyrightc 1999-2012"(IshiKyuuteiKanshikan)"All rights reserved. IE6 / Homepage Builder vo16 |