中国笑話集>1>            中国笑話選 1

 1・牛年うまれ
昔、一人の縣知事がいましした。貪欲で飽くことを知らず、人々の財産をしぼり取り、お金や財宝をだまし取り、またチャンスを今まで逃がしたことがありませんでした。この縣知事は誕生日を祝うことになりました。このことは、この縣の役人たちを、とても、忙しくさせました。

彼等は知事がネズミ年だと聞いたので、皆は金を集めて金のネズミを鋳造して、誕生祝いとして知事に贈りました。縣知事は大変に喜びました。そして、縣知事は金のネズミを見ると、サッと奪い取り、うっとりと眺めて、両目を細めて喜びました。彼は金のネズミをなでながら役人達に言いました。「数日したら妻の誕生日だ。君たち忘れないでほしい。妻は丑(うし)年なんだ。」

  2・
夢に周公をみる
ある先生、昼ねから醒めたとき、つい口をすべらえた。「わしは夢に周公を夢見た。孔子さまなみだ」 翌日の昼、弟子がその真似をしたので、先生は鞭で叩き起こした。
「私も周公にお目にかかりに行ったのです」  
「で、周公は、なんと仰せられた?」
「昨日、先生とは会わなかったと言われました」

  3・
藪医者。
ある藪医者、女房をもらって一男一女を儲けたが、ある時、匙加減を間違えて他人の息子を死なせてしまった。償いに自分の息子をやった。そのあとで、また他人の娘を死なせたしまった。

同様に娘を取られてしまった。   と・・・・・・・・。  門を叩いて往診を乞う声がした。
「病人はどなたで・・・・・」
「わたしの家内です」
医者は嘆いた。
「ついに女房まで取られてしまうのか」

  4・
なりませぬ
「これは道に行き暮れた旅の者、一夜の宿をお貸しいただけませんか」
「こちらは女の一人住まいゆえ、お気の毒ですが、お入れ致すことはなりません」

「それは困った、しかし、もし、あえて戸を破って入ったらどうじゃ」
「戸を破るはよけれども、私の身体になど、さわってはなりません」
「もし、あえてさわったらどうじゃ」
「身体にさわるはよけれども、入れたりなどしてはなりませぬ」
「入れるはよけれども、決して、抜いてはなりませぬ」

    
 5・里帰り
若い嫁がいました。実家では人にことづけをし、娘に二、三日実家に泊まるように托しました。彼女はそのことを聞くと、急いで子供を抱きかかえ、実家へ急ぎました。途中まで来ると日が暮れてしまいました。疲れて、つい道端のウリ畑で、子供を遠くにほうり出しウトウトと寝てしまいました。

暫くして彼女は起き上がり、走っていき、子供を抱き上げると道を急ぎました。  実家の玄関に入ると、お婆さんが歩み寄って孫を見ました。ところが思わず驚いて、「娘よ、お前はどうして大きなトウガンを抱いて来たのだい」

娘はそれを聞いて慌てふためき、急いで戻りました。実家の人々も提灯を持ってウリ畑にやって来て、一緒に孫を捜しました。あちこち捜しましたが孫は見当たりません。

ただ大きな枕を一つ見つけました。彼女はあたふたと又家に帰って見ると、子供はちょうどベットに寝ており、まだ目を覚ましていませんでした。

  6・
靴を買う
兄弟が貯金をして、一足の靴を買ったが、兄がいつも靴を履いたので、弟は出費がムダになることが我慢できなくなり、靴を履きたくなり、毎晩、兄が寝るとこの靴を履いて散歩をすることにしたので、靴がすり減ってしまった。

兄が弟に相談して言い、「もう一度お金を出しあって、靴を買おうよ」
と提案した。しかし弟は答えるのだった。
「新しい靴を買うと、僕の眠る時間がなくなるよ」

  7・
おおきな目
宴会の時、主人が大きな魚を食べ、客には小魚の皿を出した。大きな魚の眼を間違って皿の上に置いた。客がそれを見つけて冗談まじりに言った。
「この種の魚が欲しいんだ、池で飼いたいんでね」
すると主人は謙遜しながら答えた。
「私の池にいる魚はどれも小魚のたぐいばっかりで、なんの取り得もないよ」
すると客が言いかえした。
「いやいや、魚の図体が小さいのに、こんなでっかい眼玉をしているのは、なかなかいないよ」

  8・
蘇州の掛け値
ある人が初めて蘇州へ行く人に教えた。
「蘇州人は掛け値を言うから、話半分に聞くことだ。例えば物を買う場合、二円と言えば一円払ってやればいいんだ」
その人は蘇州へ行って品物を買ったが、忠告された通りにしてみて、それでよいことが判った。
「姓は陸。(六と同じこと)です」
と言われると、
「それでは『三』さんとおっしゃるので・・・・」
「お宅には幾部屋がありますか」
「五室です」
「はあ、二間半ですか」
「ご家族は?」
「家内だけです」
この男、ついうっかりと。
「では、ほかの人と共有で・・・・・・」 

  9・
年齢が減る
ある商人が芸者を買い、年齢を尋ねた、女は答えた。
「十八」 
翌年、その商人は損をしたが、気晴らしに、またその芸者を買って、年齢を尋ねた。
「十七」
その次の年も、その芸者を買ったところ、
「十六」
その商人はそれを聞いて泣き出して言う。
「お前の年齢は、わしのお金と同じで、だんだん減って行くんだね」

  10・
糸瓜
客と話をしていて、たまたま話が『へちま』は精力減退ものと、『にら』は増強のもとだということに及んだ。
 
それからしばらくして、亭主が酒を持ってこいと呼んだが妻が出て来ないので、 どこへ行ったかと子供に聞くと、畑に行ったと言う。
『何しに行ったのだい』 と問うと、子供、
『おっかさんは、へちまを抜いて、にらを植えるんだって』


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