中国笑話選>5>
                      中国笑話選    

 1・あまりに遅く生まれた
盧公は老いて妻を失ったので、祝と言う名の若い女を娶った。彼女はあまりの年齢の違いのために、毎日悲しみにくれていた。 盧がこれを見て尋ねた。
『お前は私の歳を恨んでいるのじゃないのかい』  祝は。『いいえ』と答えた。

『それでは、私の地位があまり高くないのを恨んでいるのかい?』『いいえ』 盧は続けた。    『それなら、どうして沈んでいるのかい』
祝は答えて言った。
『あなたの歳も、あなたの官位にも不満はないの。ただ私が悲しいのは、私が生まれるんが遅すぎて、あなたの青年時代に会えなかったことなの。』

 2・せっかち
せっかちな性分の男が麺店に入るなり叫んだ。 『俺の麺をどうして早く持って来させないのだ』 店の主人が出て来て、麺の鉢をテーブルの上で裏返しにして言った。

『さっさと食べろ。この鉢を空にしたいんだから。』
この男はひどく腹を立てて、家に帰って妻に話した。
『あまり腹が立つて、死ぬほどだ。』
すると妻は風呂敷包みを素早くまとめて言った。
『あなたが死んだのだから、私は再婚するわ。』
嫁入り一夜明けて、二度目の夫が離婚したいと言いだしたので、なぜかと尋ねると。

『お前が子を生まなかったからさ』

 3・北京かぶれ
北京から戻ってきた少年が北京のものは素晴らしいと誇張して話をした。ある晩、少年は父親と月光の下を散歩していた。ある通行人が
『今夜の月は見事だね』と言うと、少年は口をはさんで言った。
『この月が素晴らしいですって、北京の月はもっとすてきですよ。』
すると、父親が息子を叱りつけて
『月は天下に一つしかないのに、どうして北京の月のほうが素敵な事があるもんか。』と言いながら、ゲンコツを食らわした。息子は泣きべそかきながら。
『パパは知らないでしょうが、北京のゲンコツは、そんなものよりもずっとすばらしいよ。』

 4・まだ大丈夫
貧乏な夫婦がいた。夜中に亭主がその気を起こしたので手を出すと、女房。
『あした食べる米も無いというのに、あんた、よくそんな気になれるわねえ。』 とたんに亭主に一物はしぼんでしまった。ところが女房の方もきざしてきた。
『とは言っても、米櫃の中をかき集めたら、あした食べるくらいはあるわ。がんばって!』

 5・三つの言葉
新しく任官された、自称正直役人が失職を恐れず、人民の為に好い行いをしようとして事務室に標語を貼った。曰く、「私は金を求めない。私は官職を求めない。私は死ぬのを恐れない。」    数日後、誰かによって、この標語の下に、それぞれ二文字ずつ書き加えられた。

不要銭  嫌少。  少額であれば。
不要官  嫌官。  下位のものなら。
不要命  嫌老。  年はとりたくない

 
6・誰が私の面倒を見てくれるのだろうか
ある金持ちの息子は30歳にもなっているのに、全くのうすのろだった。その為に、父親に扶養してもらい、ただぼんやりと過ごしていた。ある日、父親が易者を呼んで占ってもらった。

父親はこの時、50歳だったが、易者は80歳まで生きられるだろうと言った。また息子を占って  もらったら、62歳まで生きられるだろうと予言した。それを聞くと、息子は泣き叫んで言った。

『父が80歳までしか生きないとしたら、私が60歳になった後の2年間は、いったい誰が私の面倒を見てくれるだ?』

 7・催眠法
乳母が役人の子供の面倒を見ていたとき、子供は泣いて、一向に眠ろうとしなかったので、乳母はどうする事も出来ずオロオロしていたが、突然、役人に本を一冊持って来るように頼んだ何にするのかとの役人の問に答えて言った。
『いつも旦那様が本をお読みになると、すぐさま眠っておられるのを、見ているものですから。』

 8・明解決策
斉の国の人に娘がいた。二家から同時に求婚された。東隣の息子は醜かったが裕福な家で西隣の息子は美男子だったが貧しかった。娘の両親は決め兼ねて、娘にその意思を示すために、いずれかの肩の着物を脱ぐようにさせると、娘は両方の肩のきものを脱いだ。

母親がその理由を尋ねると、少女は答えた。
『東隣の家で食事をし、西隣の家で泊まりたいの。』

 9・妻の祈り
衛の国のある夫婦が一緒に神様にお祈りをした。その時、夫は妻が、
『どうか百束の布が手に入りますように。』
と祈っているのを聞いて、不審に思って聞いた。
『どうして、そんなに望みが少ないのだ』妻は答えた。
『それ以上手に入ると、あなたは妾を買いなさるだろうと思って・・・・・』

 [ 目次 ]



         Copyright(C)1999-2004  by tohou AllRightsReserved
                      石九鼎の漢詩舘
                thhp://www.ccv.ne.jp/home/tohou/warai5.htm
             リンクは自由です。無断で複製・転載することを禁じます