「女鑑」明治28年8月号・12月号より |
「コロッケ」
馬鈴薯を湯で、裏漉にて漉し、之に塩と卵の黄味を好き程に加え、鍋にバターを投じて火の上に置き此の薯と卵の混和物を其中にて更らに練り混ぜ置き、扨て肉(牛鳥肉類)を細末に切り、バターにて煎付け、之に練薯を混ぜたるものを手にて丸め、楕円を細めたる様の形に、長さ二寸位ずつに做し、之にパン粉を塗付け、又た其外皮に卵の黄味を塗りて、パン粉を付け、之を牛の油にて揚ぐるなり
「仏蘭西コロッケ」
芝海老(くるま海老にてもよし)を塩湯となし、其の皮を剥き、賽の目に切り、別にバターを鍋にて解かし、之に小麦粉と牛乳を少し宛入れつつ攪回し、其の丸るめらるる位の軟かさになりたるとき、前の海老をバターにて炒りて、之に混和し、器に取りて冷まし、是冷めたるを待ち、楕円を細めたる形に、凡そ二寸位に固ため、之にパン粉を付け、是上に卵を塗り、又たパン粉を付けて、牛の脂にて揚ぐるなり
戻る |