ビオトープネットワーク広島 福富ビオトープ『次郎丸』

福富ビオトープ『次郎丸』づくりの概要

 東広島市から車で北上するとこ約30分、東広島市に隣接する福富町で、地域の有志が発起人となり『地域の環境を考える場をつくろう』とビオトープづくりが始まりました。
 今回は東広島市にある広島大学の先生や学生の皆さんと、現地調査から一緒に作業することになりました。

  1. 現地調査(03年)

  2. 流れ 

     スタッフ同士の顔合わせの後、早速、参加者で現地調査を行いました。現場はセイダカアワダチソウなどの雑草が茂っており、水を溜めるのに苦労するかと思いましたが、地元の農家さん曰く「保水に関しては問題はないでしょう」と言うことでとりあえず一安心。
     また、ビオトープ予定地のすぐ上にあるため池の様子も見ましたが、こちらも大きな問題は無く、夏場でも湧き水があり、ビオトープに流せるだけの水量はあるとの事でした。
     (予定地の周囲は山林や田んぼも多く残されていますが、田んぼに沿って走る道には、コンクリートのU字溝が埋められ、冬には水を落とす乾田になったり、近くの小川も改修されコンクリート3面張りの用水路になるなど、この周辺も生物にとっては生息しにくい環境になりつつあるというのが第一印象でした。)

  3. 計画作り(03年)

  4. 流れ 

     現地調査の結果や地元の方の希望で、子どもも気軽にあそべるような「湿地型のビオトープ」をつくることになりました。
     地元の方と調整した結果、バックホウなどの重機を使った作業や丸太の切り出しや搬入などは、地元の方がボランティアで協力して下さることになりました。
     また、話し合いを元に設計図を用意しましたが、大部分は現場合わせで地面に線を引きその場で形を決めて行きました。

  5. 掘削・整地作業(03年)

  6. 流れ 

     まず、重機で草が茂っている場所の表土を取り除き、周囲に寄せて畦を作りました。
     畦を叩いて固めていく作業や、導水・排水のための水路を手掘りでつくる作業など手作業は、協力してくれた広島大学の学生の皆さんが中心となって作業を行いましたが、土工だけで丸2日掛かりました。
     ()



  7. 看板設置して全作業終了(03年)

  8. 流れ

     工事がほぼ終了した後、現地に案内看板を設置し、一通りの工事はすべて終了。後は経過を見ながら適切な管理を行っていけば、多くの生きもののにとってすみやすい場所になるでしょう。
     (ちなみに名前の由来となった『次郎丸』とはこの地域の屋号なんだそうです。)







  9. その後(04年)

  10. 流れ  

     右の写真は造成後半年が経った頃の写真。植生も徐々に回復してきています。
     今回、周囲の自然度が比較的高いことから、埋土種子から何か面白い植物が芽生えてこないか観察出来ればと思っていますが、通うのには何分遠いな…。(広島市内から片道2時間以上掛かる…。)





  11. コメント

  12.  

     一見すると自然が豊かな場所でも、生きものの視点に立って周囲を観察してみると、案外そうではないことに気づく。人間にとっては小さな工事(改変)でも、それが積み重なると周囲の生物にとって大きな影響を与えるのだと、このビオトープの作業を通して実感しました。
     また、今回の現場の近くでは、まだボタルも飛んでいるということですが、普段、子供たちはテレビゲームなどで遊び、自然の生きものと触れ合う機会はほとんど無いと地域の人から伺いました。
     自然がまだ残っているような場所に暮らす子供たちでも、自然との距離は遠くなっているのだと今回の作業を通して改めて感じました。

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