漢 詩 作 詩 講 座  (10)

■転句と結句の続けぐあいに虚字を用いると詩句に屈折が生まれて詩が一本調子になるのを防ぐ,虚字を用いると詩が弱くなると言われているが,実字ばかりで作った句は雄雄しいが平板に成り易い。虚字の使い方で,作詩家の力量も問われる。

■律詩は格調,声律を主とし,興趣をとし,文字をとして作るべきもの,深厚なるのが宜しい。七律は雄渾にして艶麗も悪くはない,と先哲者は教え導く。

七言律詩
七言律詩平起式

 首聯  ◇○ ◇● ●○◎ーー韻     ◇● ◇○ ◇●◎ーー韻
 頷聯  ◇● ◇○ ○●●ーー対句ーー ◇○ ◇● ●○◎ーー韻
 頸聯  ◇○ ◇● ◇○●ーー対句ーー ◇● ◇○ ◇●◎ーー韻
 尾聯  ◇● ◇○ ○●●         ◇○ ◇● ●○◎ーー韻
 
七言律詩仄起式

 首聯  ◇● ◇○ ◇●◎ーー韻     ◇○ ◇● ●○◎ーー韻
 頷聯  ◇○ ◇● ◇○●ーー対句ーー ◇● ◇○ ◇●◎ーー韻
 頸聯  ◇● ◇○ ○●●ーー対句ーー ◇○ ◇● ●○◎ーー韻
 尾聯  ◇○ ◇● ◇○●         ◇● ◇○ ◇●◎ーー韻

七言律詩では起句にも韻を踏む(押韻)。ニ四不同,ニ六対は絶句と同じ,四字目の孤平を禁ずるも絶句と同じ。下三連を禁ずる,も同じ。頷聯と頸聯が対句が重要ポイント。

五言律詩
五言律詩仄起式

 首聯  ◇● ◇○●         ◇○ ◇●◎ーー韻
 頷聯  ◇○ ○●●ーー対句ーー◇● ●○◎ーー韻
 頸聯  ◇● ◇○●ーー対句ーー◇○ ◇●◎ーー韻
 尾聯  ◇○ ○●●         ◇● ●○◎ーー韻

五言律詩平起式

 首聯  ◇○ ○●●        ◇● ●○◎ーー韻
 頷聯  ◇● ◇○●ーー対句ーー◇○ ◇●◎ーー韻
 頸聯  ◇○ ○●●ーー対句ーー◇● ●○◎ーー韻
 尾聯  ◇● ◇○●         ◇○ ◇●◎ーー韻
    ◇⇒平・仄を問わず。○⇒平韻。  ●⇒仄韻。

五言律詩では二字目の孤平と七言四字目の孤平を禁ずるの絶句と同じ。下三連を禁ずるも同じ。

律詩を作る時は,頷聯,頸聯を先に作って次ぎに尾聯を作り,首聯を作るのが良いとされている。対句について,熟語の構成上,1,修飾関係の熟語。2,補足関係の熟語。3,並列の関係の熟語。の三つに分類される。対句に就いては創作の立場からの対句法 太刀掛呂山の名講義がある。参照されたい。


七言近体には,下記の句法等々がある。
折腰対。 (例) 不貧夜識金銀気。 遠害朝看麋鹿遊。
三折対。 (例) 風急天高猿嘯哀。 水清沙白鳥飛廻。
例装対。 (例) 紅稲啄残鸚鵡粒。 碧梧棲老鳳凰枝。
分装対。 (例) 旌旗日暖龍蛇動。 宮殿風微燕雀高。
流水対。 (例) 已知白髪非春事。 且尽芳樽恋物華。
走馬対。 (例) 晝漏稀聞高閣報。 天顔有喜近臣知。
錯綜対。 (例) 楊花細逐桃花落。 黄鳥時兼白鳥飛。
句中対。 (例) 孤雲獨鳥川光動。 萬井千山海色秋。
就句対。 (例) 白首丹心依紫禁。 一麾伍部浄三辺。




          Copyright (C) 2001-2003    石九鼎の漢詩館
          thhp://www.ccv.ne.jp/home/tohou/gouza10.htm
         このページへのリンクは自由です。無断コピーは禁止します