| 香蘇山舘詩絶句集 嘉道六家絶句 （２） 呉蘭雪 香蘇山館詩鈔 呉蘭梁。清朝時代。江西省東郷の人。字は蘭雪。号は蓮花博士・石渓老漁・石渓舫。と言う。乾隆のはじめ、鴻博に召されたが、遇わずして故郷帰り、郷に挙げられる。内閣中書となる。 黄景仁と詩才を斉しくし朝鮮の吏曹判書金魯敬・嵩梁を以って詩佛と称す。書室を香蘇山館と言う。著に香蘇山館集がある。 題謝竹岩明府填行詩草 旅懐蕭爽付吟箋。 旅懐 蕭爽 吟箋に付す 纔吊坡僊又謫僊。 纔に坡僊を吊り又謫僊 莫怪騒人頭易白。 怪しむ莫れ騒人の頭 白く易きを 黄州風月夜郎大。 黄州の風月 夜郎大 寄宋澹思進士 聯吟曽記坐苔磯。 聯吟 曽つて苔磯に坐すを記す 月満東湖酔不帰。 月は東湖に満ちて酔うて帰らず 仙蝶睡醒花影薄。 仙蝶 睡り醒めて花影 薄く 暗風吹上越羅衣。 暗風 吹き上げる越の羅衣 南園梨花盛開追念昔遊惘然賦此 洗粧旧事已天涯。 洗粧す旧事 已に天涯 何処青旗売酒家。 何れの処ぞ青旗 売酒家 香雨暖風籬院閉。 香雨 暖風 籬院は閉じる 一春詩夢在梨花。 一春の詩夢は梨花に在り 再題杏花双燕園後 聴雨依然臥小楼。 聴雨 依然たり小楼に臥す 一春詩夢澹於秋。 一春の詩夢 秋よりも澹く 花開又是分飛日。 花開き又是れ分飛日 説与紅衿也替愁。 説与す紅衿 也た愁に替える 江南道中雑吟（一） 山風払袂暗凉生。 山風 袂を払い暗に凉生ず 月黒空林更獨行。 月は黒く空林 更に獨行 一路野花開似雪。 一路 野花 開て雪に似たり 但聞香気不知名。 但だ香気を聞くも名を知らず 江南道中雑吟（二） 臨水人家欲閉門。 水に臨む人家 門を閉じんと欲す 乱蝉嗚咽近黄昏。 乱蝉 嗚咽 黄昏に近し 笠檐簑袂皆堪画。 笠檐 簑袂 皆な画に堪えたり 牛笛吹過寄宝村。 牛笛 吹過 宝村に寄る 題徐閭齋芙蓉湖上読書図 芙蓉愛説湖名好。 芙蓉 愛し説く湖名の好き 想見秋深爛漫開。 想い見る秋深 爛漫として開くを 夢裏渓雲紅不断。 夢裏の渓雲 紅は断えず 花邊二十四鴎來。 花邊 二十四鴎來たる 酒醒歩月偶書 林塘幽絶似山家。 林塘 幽絶 山家に似たる 臨水欄干卍字斜。 水に臨む欄干 卍字斜なり 僊鶴一双都睡著。 僊鶴 一双 都く睡著す 冷香吹遍緑梅花。 冷香 吹き遍し緑梅花 莫愁湖櫂歌為李松雲太守作 朱門画戟擁笙歌。 朱門 戟を画いて笙歌を擁る 半局残碁奈汝何。 半局の残碁 汝を奈何せん 留得佳名艶湖水。 佳名を留め得る艶湖水 英雄不及女児多。 英雄 及ばず 女児多し 憶梅詩 憶梅曽陟梅花嶺。 梅を憶い曽て陟る梅花の嶺 門掩斜陽閣部祠。 門は斜陽を掩う閣部の祠 一株偃臥氷霜底。 一株 偃臥 氷霜の底 恐是蒼龍化後枝。 恐らく是れ蒼龍 化後の枝 雨後頗憶故園幽事渉筆成詩 名園小住亦清涼。 名園 小住 亦た清涼 夾竹桃開梔子香。 夾竹桃開いて梔子香し 却憶蘇山新雨後。 却て憶う蘇山 新雨の後 芭蕉青到読書床。 芭蕉の青は到る読書の床 早凉 落花一径掩苔痕。 落花 一径 苔痕を掩う 高樹濃陰似水村。 高樹 濃陰 水村に似り 昨夜雨凉貪美睡。 昨夜 雨凉 美睡を貪る 売花人到未開門。 売花の人到り未だ門を開かず 題緑春画蘭雑詩 一叢嫩緑早含春。 一叢の嫩緑 早や春を含む 小影嬋娟自写真。 小影 嬋娟 自ら真を写す 不向燕支借顔色。 燕支に向かって顔色を借らず 画花原是素心人。 花を画くは原と是れ素心の人 為覃谿師題王漁洋秋林読書図 江鳥江花共唱酬。 江鳥 江花 共に唱酬 一尊介雅亦風流。 一尊 介雅 亦た風流 著書知有名山約。 著書 知る有り名山の約 特為先生画錦秋。 特に先生 錦秋を画く為なり 書随園先生題佑之丈泛月理琴図詩後 一葦依然不繋舟。 一葦 依然たり 舟を繋ながず 氷絃弾近秣陵秋。 氷絃 弾じて近し秣陵の秋 故人只有倉山叟。 故人 只だ有り倉山の叟 華月傷心記痩楼。 華月 傷心 痩楼を記す 芳草塘上冢詞 断腸春色似青陵。 断腸す春色の青陵に似たるを 胡蝶前身化未曽。 胡蝶の前身 化して未だ曽ならず 欲施墓田修佛事。 墓田を施し佛事を修めんと欲す 桐陰廃寺久無僧。 桐陰 廃寺 久しく僧 無し 閒行詩五月十三日作 終日焚香坐小齋。 終日 香を焚き 小齋に坐す 閒行也要暢幽懐。 閒行 也た幽懐を暢を要す 雨餘試踏門前路。 雨餘 試みに踏む門前の路 芳草青青已没鞋。 芳草 青青 已に鞋を没す 平原道中杏花 黄河一渡即風沙。 黄河 一たび渡れば即ち風沙 柳未揺青草正芽。 柳は未だ青を揺がさず草正に芽す 偏是杏林春信早。 偏に是れ杏林 春信の早く 十分顔色半開花。 十分の顔色 半ば花を開く 題張塞園別駕問梅図 驢背詩情苦未銷。 驢背の詩情 苦ごろに未だ銷せず 乱山飛瀑路迢迢。 乱山 飛瀑 路迢迢 不知何樹花開早。 知らず何の樹 花開くこと早きを 只為尋香渡石橋。 只だ香を尋ねる為 石橋を渡る 余有山水癖念昔賢多同調者輒紀以詩 采石危磯捲怒涛。 采石 危磯 怒涛を捲 詩楼只合画離騒。 詩楼 只だ合に離騒を画く 青山明月今猶艶。 青山 明月 今猶ほ艶 曽見先生宮錦袍。 曽つて見る先生 宮錦袍 ・・・・・・・李太白・・・・・ 巨斧摩天孰敢勝。 巨斧 天を摩し孰れが敢えて勝る 峩眉天半雪崚崚。 峩眉 天の半ば 雪崚崚。 後來蘇陸探奇彳扁。 後來 蘇陸 探奇彳扁し（あまねし） 第一開山譲少陵。 第一の開山 少陵に譲る ・・・・・杜子美・・・・・・ 五字超然思不群。 五字 超然 思い群ならず 襄陽絶唱更誰聞。 襄陽の絶唱 更に誰か聞く 幽尋偏愛王摩詰。 幽尋 偏に愛す王摩詰 行尽青谿看白雲。 行き尽す青谿 白雲を看る ・・・・・王摩詰。孟浩然・・・・・・・ 樊口西湖最有情。 樊口の西湖 最も情あり 嶺南遊興冠平生。 嶺南の遊興 平生に冠たり 海天空濶同胸次。 海天 空濶 胸次を同じうする 萬里仙槎泛月行。 萬里 仙槎 月を泛べて行く ・・・・・・・蘇東坡・・・・・・・ 巫峡雲深神女祠。 巫峡 雲深く神女の祠 成都錦瑟萬花圍。 成都の錦瑟 萬花の圍 夢中偏渡桑乾磧。 夢中 偏に渡る桑乾の磧 戈馬如雲破賊帰。 戈馬 雲の如く賊を破って帰る ・・・・・・陸放翁・・・・・・・ 題王安石載竹図 扁舟満載未嫌貧。 扁舟 満載 未だ貧を嫌らわず 愛竹心情旧雨諳。 竹を愛す心情 旧雨諳ず 難得高人傳韻事。 高人の韻事を傳えること得難く 一篷烟月画江南。 一篷の烟月 江南を画く 惆帳 長安住久漸如家。 長安 住して久し 漸く家の如く 酒可零沽米暫（貝余）。 酒 零沽すべし米暫らく（貝余）おぎのう 一事今年最惆帳。 一事 今年 最も惆帳 典衣無分購唐花。 典衣 分なく 唐花を購う 題朝鮮朴童子臨茶農所画梅龕図 南枝消息報東風。 南枝の消息 東風を報ず 向背横斜態不同。 背を向ける横斜 態 同じからず 慙愧黄金鋳詩佛。 慙愧す黄金 鋳詩佛 一龕深坐萬花中。 一龕 深坐する萬花の中 三月二十五日紅橋内集 呉霜両鬢已蕭蕭。 呉霜 両鬢 已に蕭蕭 連日看花負雅招。 連日 看花 雅招に負く 不是金尊擎翆袖。 是れ金尊 翆袖を擎げず 老夫忘却是生朝。 老夫 忘却す是れ生朝 看花雑詩 玉蘭古樹記前朝。 玉蘭 古樹 前朝を記す 曽倚紅粧聴洞簫。 曽つて紅粧に倚て洞簫を聴く 今日俊遊如断夢。 今日 俊遊 夢を断えるが如く 尋香又過水西橋。 香を尋ね又た過ぐる水西橋 [目次] Copyright (C) 2001-2003 石九鼎の漢詩館 thhp://www.ccv.ne.jp/home/tohou/jiadao2.htm このページへのリンクはj自由です。無断コピーは禁止します |