故事成語考>7韓非子
         故事成語考  7  韓非子

           故事成語考・韓非子 (2)
  ☆ 毛を吹いて疵を求む   (大体)
  ☆ 肉を以って蟻を去る   (外儲説・左下)
  ☆ 弊袴を愛惜する      (内儲説・上)
  ☆ 道遠く日暮れる      (外儲説・左下)
  ☆ 矛盾       (難一)
  ☆ 余桃の罪    (説難)
  ☆ 老馬の知    (説林・上)



毛を吹いて疵を求。(大体)
ことさら人のあら捜しをする。余計なことをして却って逆効果を招く『ことさらに毛を吹き分けて隠れた傷を見つけるようなことや、垢を洗い落として表に見えなかった色を知るようなことはしない』

肉を以って蟻を去る (外儲説・左下)
手段や方法を誤っていることの例え。蟻の好きな肉を使って蟻を追い払うこと。蟻を追い払うのに肉を使えば、却って蟻は無数に集る方法を間違えば、却って逆効果を招く。

弊袴を愛惜す (内儲説・上)
信賞必罰を実行すること。漢の昭侯がはき古したハカマ(袴)を仕舞わせた。家来が誰かにやったらどうかと、非難した。昭王は「賢明な君主は眉をしかめたり、笑うことさえ惜しむものだ。袴は手柄のある者に与える」

道遠く日暮れる (外儲説・左上)
忙しいこと。戦国時代に鄭縣の人が豚を売りに走っていた。ある人がその値段を聞くと『帰る道が遠くて、日も暮れてしまった。話をしている暇がないのだ』と言った故事。

矛盾 (難一) 
言うことが、つじつまが合わない。楚の国で矛と盾を売っている者がいた。自分の盾を自慢して『私の盾の丈夫なことと言ったら、これを突き通すことのできる物などない』と言った。今度は、また 自分の矛を自慢して言った『私の矛の鋭さは、どんな物でも突き通さない物はない』これを聞いた人が『それでは、その鋭い矛でその堅い盾を突いた結果はどうでしょうか』売り手は答えることが出来なかったと言う故事。

余桃の罪 (説難)
愛情と憎悪の情の変化のはなはだしいこと。衛の彌子瑕は、病気の母を見舞いに行く時に、無断で主君の車に乗ったが、寵愛されていたので、足切りの刑にはならず、かえって親孝行を褒められた。また、主君と果樹園に遊んだ時には桃の食べかけを献上すると、王は『自分の食べかけであることを忘れて自分に食べさせてくれた』と喜んだ。然し寵愛が衰えると王は『偽って主君の車に乗り、食い残しの桃を食べさせた』と罵られ、処罰されたと言う故事。

老馬の知 (説林・上) 
物にはそれぞれ長所がある、どんなものにも取り得のあること。年とって役に立たない馬でも、本来利口な動物で、道に迷った時は道しるべになる。管仲が桓公と孤竹を討った帰り道で迷い、老馬を放ち、その後に従い道を見つけた故事。



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