故事成語考>5>漢書
                 故事成語考  5   漢書(2)

               漢書・2

              細君      (東方朔伝)
              菜食      (元帝紀)
              尸位粗餐   (朱雲列伝)
              舌を巻く    (揚雄伝)
              秋毫      (高帝紀)
              守文      (多戚伝)
              心服を輸写す (趙廣漢伝)
              水火を通ぜず (孫宝伝)
              石画の臣   (匈奴伝)
              大味は必ず淡し(揚雄伝)
 



細君 (細君)(漢書・東方朔伝)
自分の妻の謙称。漢の時代には、土用の日に暑気よけを祈る儀式があった。後に、供えた肉を臣下に賜る習慣があった。ある年、それを配られるのが遅く、東方朔はその肉の一部を勝手に切り取り、家に持ち帰った。翌日、武帝に叱られると「命令を待たなかったのは無礼です。剣で切ったのは壮烈です。少し取ったのは廉潔です。その上、細君に贈ったのは、なんと親切ではないでしょうか」と笑わせたところ『帰って、細君につかわせ』と、酒一石、肉百斤を改めて賜った故事による。

菜食 (菜食) (漢書・元帝紀)
顔色が悪いこと。菜を食ったような色。詔して言う。「本年は度々、災害があって、人民の顔色が悪く悲しみ傷んで心が塞ぐ」

尸位粗餐 (尸位粗餐)(漢書・朱雲列伝)
役職につきながら、責任を果たさずにむだに俸給をもらっていること。「今、朝廷の大臣たちは、上は天子をただすことが出来ず、下は有益な人民を滅ぼして、みな才能も無いのに、何の働きもしないで高額の俸給を受けている」

舌を巻く (巻舌)(漢書・揚雄伝)
驚いて口がきけない。ものを言わない。「礼官博士たちは、驚いてしまい話もしなくなった」舌を巻いて締めてしまえば、言葉を出すことが出来ない。感じることが多く、言葉に言えない。

秋毫 (漢書・高帝紀)ごくわずかなものの例え。
沛公の言葉に『私は、函谷関に入ってから、ちり一つ自分のものとしたものは無い』と。

守文 (漢書・多戚伝)
祖先の事業を継承して国を治める。いにしえの学術を守る。『昔から、天命を受けて新たに国を興し、帝王となった者、また、祖先の事業を受け継ぎ、国を治める君主は心のうちに備わった徳が高いだけでなく、それは妻の一族の助けがあったからだ』

心服を輸写す(輸写心服)(漢書・趙廣漢伝)
心に思うことを残らずに相手に話す。『役人の閲見するもの、みな真実を吐露して、隠したてするものがない』 

水火を通ぜず (不通水火)
 (漢書・孫宝伝)近所と全く交際しない。近隣と没交渉のこと。『表門を塞いで水火を通せず、家屋の後ろの垣根に穴をあけ、通用門とした』

石画の臣 (石画之臣)(漢書・匈奴伝)  
大きな謀りごとをする臣。「石画」は、大きな、はかりごと。『偽りの臣と、大きな謀がたいへん多い』

大味は必ず淡し (大味必淡)(漢書・揚雄伝)
すぐれて好い味というものは、必ず淡泊なものである。『大味は必ず淡い、大きな声というものは、必ず声のないものである』



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