故事成語考>5>史記
                 故事成語考 5 史記
         ☆ 長頚烏啄、鷹視狼歩
         ☆ 長夜の飲
         ☆ 陳勝呉広
         ☆ 陳陳相因る
         ☆ 天道是か非か
         ☆ 同日の論にあらず
         ☆ 陶朱猗頓の富
         ☆ 土崩瓦解
         ☆ 虎の口を遁る
         ☆ 肉胆して荊を負う
         ☆ 乳臭
         ☆ 麦秀の嘆
         ☆ 尾生の信
 



長頚烏啄、鷹視狼歩(越世家)
越王勾践の人相。
長い首と、とがった口、鷹のようにギョロリと光る目、狼のような歩きぶり。この人相は才能は有り 忍耐強い、苦難を共にする事は出来るが、残忍・強欲・刻薄・猜疑心が強い。

長夜の飲 (殷紀)  
歓楽の限りを言う
殷の紂王は、でたらめな楽しみに耽り、奥の部屋に閉じこもり窓を締めきり、燈火をたいて、いつまでも酒を飲み続け、遂には月日も忘れたと言う。

陳勝呉広  (陳勝呉広)
(陳渉世家) 叛乱の最初の首謀者。
秦末の楚の陳勝と呉広のこと。秦の始皇帝没後、二世皇帝の時、二人で倒秦の兵を挙げ秦打倒 の口火を切った人物。それから、二人の名を併せて事の端を発することに言う。

陳陳相因る(陳陳相因)(平準書)
太平の世で物が豊かなさま。また陳腐なことの例え。「陳」は陳穀。古くなった穀物。古米の上にまた古米が積み重なること。古い物が集り重なること。

天道是か非か (天道是耶非耶) 
(伯夷列伝) 物事の判断に迷ったときのことば。
善人が禍に遇い、悪人が天寿を全うする世の中の矛盾を嘆き、天道の正当性を疑うことば。

同日の論にあらず (不同日論)(遊侠列伝)  
あまりに違いすぎること。『本当に田舎の義をかけて振舞う男などに、季次や原憲と権力を比べさせ 手柄を今の世に立てさせても、同じ日に論じられない』

陶朱猗頓の富 (貨殖伝)
巨万の財産。
范レイは越王勾践を助けて呉の国を滅ぼした後、職を辞して斉の国に行き、大富豪となったのち名を陶朱公と改めた。猗頓は魯の国で陶朱公に蓄財の法を尋ね、五匹の雌牛を飼えと教えられ別に塩を作って売り、十年のうち諸侯と肩を並べるほどの富を築いた。両者を併せて言う。

土崩瓦解 (始皇本紀) 
物事がおおもとから崩れて支えきれないこと。
『秦がどんどん衰え、天下が土崩瓦解する時は、周公旦のような才能があっても、その力によって 復興する功績をあげることはできない』

虎の口を遁る (遁虎口)(叔孫通列伝)
きわめて危険な所から脱する。『叔孫通の言葉に、(あなた方はお知りにならないのです。私はほとんど虎の口から逃れないでしょう)と。そこで逃げて薛の国に行った。』

肉袒して荊を負う (肉袒負荊)
(廉頗藺相如列伝) 服従・降伏の意を示す。
「肉袒」は、肌脱ぎして上半身の裸体を出す。肌脱ぎして荊のつえを背負って、この杖で罰して叩いてください。と言うこと。春秋時代、趙の廉頗将軍が、藺相如が秦に使いして大功を立てて帰り、上卿となった事をそしり、「必ず辱めてやる」と言った。

相如は以来身を避けた。家来が恥じて理由を聞くと『強秦が趙に兵を加えないのは、私達二人がいるからだ、国家の急が先で、私讎は後だ』と言った。これを聞いた廉頗が、相如の家に謝罪に行った故事。

乳臭 (高祖本紀)修養の足りない未熟者
『漢王が言うに、(これは、口がまだ乳臭い。韓信などにとても太刀打ち出来ない)。』

麦秀の嘆 (宋微子世家伝) 
故国の退廃するようすを見て起こる嘆息と感概。『箕子は周の国に行くとき、もとの殷の都を通ると 宮殿は壊れ、稲や黍が生えているのを見て悲しんだ。大声を出して泣こうとしたが出来なかった。涙をだして泣こうとすれば、その行為な婦人のようだ。そこで麦秀の詩を作ってその気持ちを歌った。』

尾生の信 (蘇秦列伝) 
融通のきかないバカ正直。愚直な例え。春秋時代に魯の尾生高と言う男が、橋の下で女性と逢う約束をして待つていたが女性は来なかったそのうち大雨で水が増してきても、彼はなお橋の柱に抱きついて待ち続け、遂に死んでしまった。    



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