佛 山
村上佛山名剛字大有豊前人文化七年庚午生

           春 氷
江頭微動細風吹。     江頭 微に動き 細風 吹く
正是春氷欲解時。     正に是れ 春氷 解せんと欲うる時
幾片玻?光耀耀。     幾片の?玻? 光 耀耀たり
白魚相触不相知。     白魚 相い触て 相い知らず
  
          秋晩即事
籬菊花衰秋索然。     籬菊 花衰えて 秋 索然
偶求詩料到渓辺。     偶々 詩料を求めて 渓辺に到る
松身全被霜蘿絡。     松身 全て霜蘿絡によられ
十丈紅龍欲上天。     十丈の紅龍 天に上らんと欲する

         題西肥東林師詩捲
何花可似比君詩。     何れの花 君が詩に比して 似たるべき
凌雪凛乎梅一枝。     雪を凌ぎ 凛として 梅一枝
徒是評香且論色。     徒らに是れ 香を評し 且つ色を論ずる
精神人竟不能知。     精神 人竟く 知ること能わず

         七十自述
七十老人何所求。     七十の老人 何ぞ求むる所
要聞鼓服太平謳。     聞くを要す 鼓服 太平の謳
?余誤学屠龍技。     ?む余が 誤りて屠龍の技を学ぶを
一事無成空白頭。     一事 空しく白頭 成る無し

           
飽食安眠楽且堪。     飽食 安眠 楽且つ堪えたり
微?此外更何貪。     微? 此の外 更に何ぞ貪さぼる
心粗不作終身計。     心粗 終身の計を作さず
敢傲区区老種柑。     敢えて傲る 区区 老いて柑を種る