木戸孝允

松菊木戸孝允・本姓は和田。小字は小五郎、幼にして桂氏に養われ桂小五郎と称す。後、国政を執るに及んで木戸準一郎を改める。少にして驕悍不羈、後大に之を悔い始めて卓爾として志をたてた。

     丙寅早春到浪
天道未知是邪非。     天道 未だ知らず 是か非か
陰雲四塞日光微。     陰雲 四塞 日光 微なり      (途)道中。
我君邸閣看難見。     我が君 邸閣 看れども見え難し
春雨和涙満破衣。     春雨 涙に和して破衣に満つ

      偶 成 
一穂寒灯照眼明。     一穂の寒灯 眼を照らして明らかなり
沈思黙坐無限情。     沈思 黙坐 無限の情
回頭知已人已遠。     頭を回らせば知已 人已に遠く
丈夫畢竟豈計名。     丈夫 畢竟 豈に名を計らんや
艱難他年萬骨枯。     艱難 他年 萬骨 枯れ
廟堂風色幾変更。     廟堂の風色 幾たびか変更
歳如流水逝不返。     歳は流水の如く 逝きて返らず
人似草木争春栄。     人は草木に似て 春栄を争う
邦家前路不容易。     邦家の前路 容易ならず
三千余萬奈蒼生。     三千 余萬の 蒼生をいかんせん
山堂夜半夢難結。     山堂の夜半 夢 結び難し
千嶽萬山風雨声。     千嶽 萬山 風雨の声

      送黒田開拓次官
地球一磈物。     地球 一磈の物
何必論東西。     何ぞ必らず 東西を論ぜんや
行矣為偉事。     行矣 偉事の為なり
可賛造化㓛。     賛すべし 造化の㓛
鯤魚振大鬚。     鯤魚 大鬚を振るう
飛入北海中。     飛んで北海の中に入る

     石 九鼎   2009/02/17  
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