詩経 鹿 鳴

??鹿鳴。    ??たる鹿の鳴くあり
食野之苹。    野之苹(よもぎ)を食(は)む
我有嘉賓。    我に嘉賓 有り
鼓瑟吹笙。    瑟を鼓(ひ)き 笙を吹く
吹笙鼓簧。    笙を吹き簧(こう)を鼓(なら)し
承筐是将。    筐(はこ)を承(ささ)げて 是れ将(おこな)う
人之好我。    人之 我を好(よみ)する
示我周行。    我に周(なお)行(じ)を示す

??鹿鳴。    ??たる鹿の鳴くあり
食野之蒿。    野之蒿(よもぎ)を食(は)む
我有嘉賓。    我に嘉賓 有り
徳音孔昭。    徳音孔(はなは)だ昭(あきら)かなり
視民不?。    民に視(しめす)すも?(うす)からず
君子是則是傲。 君子是れ則(のっ)とり是れ傲(なら)う
我有旨酒。    我に旨酒 有り
式燕以敖。    式(もっ)て燕し以って敖(あそ)ぶ

??鹿鳴。    ??たる鹿の鳴くあり
食野之?。    野之?を食(はら)む
我有嘉賓。    我に嘉賓 有り
鼓瑟鼓琴。    瑟を鼓(ひ)き 琴を鼓(ひ)く
鼓瑟鼓琴。    瑟を鼓(ひ)き 琴を鼓(ひ)く
和楽且湛。    和楽して且つ湛(たの)しむ
我有旨酒。    我に旨酒 有り
以燕楽嘉賓之心。    以って賓嘉之心は燕楽す

○??=鹿が朽ちをつぼめて長く鳴きだすこと。
○苹=水上の浮き草
○嘉賓=燕する所の客のこと。
○瑟笙=燕体に用いる楽器
○簧(こう)=笙の舌
○承(ささ)げること


此の詩は、正小雅で、人君が群臣や外国使臣の賓客などを集めて、雍雍和楽の有様を
歌ったもの。野鹿の楽しく鳴き集う様を以って群臣賓客を宴し興ずる。周時代の善行を忘れない道徳の面影が髣髴する。